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西日本建設新聞社
2018/06/28

【熊本】滝室坂トンネル着工 中九州横断道路で県内初区間

 国道57号滝室坂道路(阿蘇市)のメインとなる滝室坂トンネルが起工した。中九州横断道路の一部を形成し、県内区間では初着工。現道の滝室坂は2012年の熊本広域大水害で斜面崩壊が11カ所発生し、39日間の通行止めを余儀なくされている。一部線形不良区間もあり、特に冬季は凍結による事故も発生することから、災害時の代替路としての役割はもとより、走行性の向上も期待されている。
 24日には阿蘇市波野の抗口で着工式が行われ、九州地方整備局の増田博行局長をはじめ熊本県の蒲島郁夫知事、地元国会議員、中九州横断道路期成会メンバーらが参加。工事の安全を祈願し、鍬入れを行った。
 増田局長は「20日の大雨では約7時間の通行止めになっており、事業の必要性を再認識した」と早期完成を目指すことを強調。蒲島知事は「阿蘇地域における観光の活性化が期待される」、阿蘇市の佐藤義興市長は「早期事業化に感謝している」、衆議院の坂本哲志議員は「全線開通に尽力する」などと挨拶した。
 滝室坂トンネルは、中九州横断道路の一部を構成する滝室坂道路(阿蘇市波野小地野〜同市一の宮町坂梨、全長6300b)に設置される。長さ約4834bで同道路の大部分をトンネルが占める。車道となる本坑(幅12b)と緊急時の避難路となる避難坑約4900b(同4・7b)を坂梨、波野の両側から同時に掘り進める。掘削はNATM工法。滝室坂道路の総事業費は約347億円。
 本坑は両側とも2期に分け施工し、避難坑は1期工事で完了させる。1期では坂梨が本坑1200bと避難坑3100b、波野が本坑800bと避難坑1800bを実施。坂梨は清水・東急・森JV(落札額66億70万円)、波野は大成・杉本JV(同60億3140万円)が担当し、工期は21年3月31日。2期の本坑2834b(坂梨1479b、波野1355b)の着工時期などは未定。
 滝室坂地区は難工事が予想されており、熊本河川国道事務所は「脆弱な地盤で縦断勾配も4%あり、湧水が多く発生する。避難坑を先行して進め、地下水の状況を把握し、支保工は従来よりも厚く施工していく」と話す。
 熊本県は、滝室坂道路の関連事業としてアクセス道路整備を計画。終点の一の宮町坂梨に設置されるIC(インターチェンジ)から国道57号に接続する道路として、県道内牧坂梨線を1・9`延伸(改築)する。
 中九州横断道路は、大分市と熊本市を結ぶ約120`の地域高規格道路。県内の計画区間約60`のうち事業化されているのは滝室坂道路のみ。国交省は今年度、大津町〜熊本市間は都市計画・環境アセスメントを進めるための調査を、竹田〜阿蘇間は概略ルート・構造の検討(計画段階評価を進めるための調査)に取り組む。大津町〜熊本市間は同調査が終われば、新規事業採択時評価に入る。

提供:西日本建設新聞社
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