木更津市経済部地方卸売市場は、卸売市場再整備に向けた基本方針案をまとめ、27日に開催された6月定例市議会の全員協議会に報告した。事業手法は、国の「強い農業づくり交付金」を活用するため、PFI手法を基本に検討。整備工法は、民間活力を導入しやすい点から建て替えを基本とし、運営主体は信用力を担保するため「公設」を維持。倉庫、冷凍倉庫、保冷設備、民間収益施設等の市場付帯施設は、民間による整備を基本とすることとした。
PFI方式を採用した場合の事業スケジュールは、本年度で経営戦略を策定し、2019〜22年度で強い農業づくり交付金の申請、PFI導入可能性調査、事業者選定手続きなどを実施。その後、着工し、23年度で一部施設の供用を開始、24年度に全面供用を開始する。
施設規模は、過去10年間の取扱量を基準に、今後の再整備及びそれに伴う新たな取り組みを考慮して必要規模を算定。青果を2800〜3800u(既存3681u)、水産物を900〜1200u(同1201u)と設定した。
また再整備では、商品管理機能向上のため、外気の影響を遮断する密閉型の施設とすることを基本とし、市場取扱量の増加に向けた加工処理施設、一般向け販売施設、物流施設、飲食施設等の新たな機能について、消費者ニーズや事業参入の可能性等の検討を進め、積極的に導入していくこととした。
再整備の基本方針では▽耐震性能の確保及び商品管理機能の向上(ハード)▽取扱量の増加による市場及び地域活性化(ソフト)▽民間活力導入による事業推進――の3項目を基本的な考え方として進めることとした。
運営主体については、卸売業者へのヒアリングや施設の状況から現状施設のままでは民営化への移行は困難なため、当面「公設」を維持し、施設整備後の状況により民営化に向けた検討を行う。整備工法については、施設を一新することで耐用年数が飛躍的に延長されるとともに民間活力が導入しやすい点から、建て替えを基本に整備を進める。事業手法は、強い農業づくり交付金の実施要領に工事費10億円以上の新設施設は「原則としてPFI事業の活用を図るものとする」との記載があるため、PFI手法を基本に検討。ただ今後の検討の中で、PFI手法以外に最適な手法があれば採用を検討する。
基本方針案は、来月からパブコメを実施し、その後、地方卸売市場運営審議会に諮り、9月ごろまでにまとめる。また、本年度の経営戦略は6月補正予算で委託費520万円を計上。来月の早い時期にプロポーザル方式での委託を予定している。基本方針の策定はアイ・エス・エス(東京都港区南麻布5―2―32)が担当。
同市場の所在地は新田3―3―12地先。敷地面積は3万5469uで、1969年11月に開設。開設後45年以上を経過し、施設・設備の老朽化が進み、耐震性も不足。このため、市場機能を維持するとともに、将来にわたり市場及び市場を拠点とした地域の活性化が図られるよう再整備を計画した。