東京大学は26日、生産技術研究所附属千葉実験所(西千葉キャンパス)の跡地に関する民間提案募集(第1次募集)について公示した。今後、同跡地を取得し、事業を実施する意向がある民間事業者から事業の提案を求め、民間事業者と対話を実施することで、今後の「跡地利用計画」の策定や、来年度以降の「開発事業者募集(2次募集)」の際の条件に反映させる。
担当部署は、同大学財務部資産課。7月3日に説明会を開催するとともに、同17日から24日まで参加資格申請書類を受け付け、同31日に参加資格審査結果を通知。その後、9月25日から同28日まで提案書を受け付ける。参加資格申請書及び提案書の提出方法は、持参または郵送とする。
参加資格要件は、自ら実施可能な事業を提案でき、また、事業実施の意向がある事業者で、単独の法人または複数の法人により構成されるグループ。提案を複数応募することは可能だが、単独で応募した法人は、グループでの応募の代表となることはできない。また、複数のグループで同時に代表法人となることもできない。応募者は、国内外において、原則として提案内容と同種・類似の事業をすでに実施している者であること。ただし、実績がなくても、新規事業として検討している場合はこの限りでない。応募者は日本国内に本店・本社を有する者であること等。
対話事業者の数は、選考会で検討・決定するが、募集要項配布段階では3〜5者程度を想定。ただし、優れた提案が多い場合は、6者以上とする場合もある。
提案の対象となる部分は、同跡地のうち市道幕張町弁天町線側の7万5299u。提案の範囲については跡地の一部分(ただし約2万u以上)であっても、質の高いまちづくりに寄与する提案内容であれば、対話事業者とする。
公共・公益的な用途を優先し、それに資する公益的な施設(「文教のまち」にふさわしい都市機能)の事業を実施する提案を行った法人については、優先的に対話事業者とする。
同大学では、生産技術研究所附属千葉実験所の柏キャンパスへの移転が完了したのを受け、学識経験者や千葉市、地域住民代表とともに今年3月に「東京大学西千葉キャンパス跡地利用協議会」を設置し、跡地利用計画の策定に着手した。
生産技術研究所附属千葉実験所(千葉市稲毛区弥生町)は、1962年から生産技術研究所の附属施設としての役割を果たしてきたが、昨年4月に柏キャンパスへの移転を完了。これを受けて新たな土地利用を図ることとし、東京大学では昨年度、跡地利用に係るまちビジョンを策定するとともに、民間事業者等のニーズを把握するためにサウンディング調査を実施した。
同跡地はJR西千葉駅至近にあり、現在の都市計画は第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)、第1種高度地区(20m)で、住宅や共同住宅、寄宿舎等の居住機能、学校や病院、老人福祉センター等の公共性の高い施設の立地は可能だが、3000uを超える店舗、事務所、ホテル等は立地できない。
隣接地には千葉大学西千葉キャンパスがあり、また、周辺には千葉経済大学、敬愛大学、県立千葉東高校、県立千葉商業高校、千葉経済大学附属高校等の教育機関が立地するなど「文教のまち」を形成している。
昨年度策定した「まちビジョン」は、同跡地のほか隣接する千葉大キャンパスも検討対象とし、千葉大キャンパスも含めた全体の基本方針として@「文教のまち」にふさわしい都市機能の導入A「みどり」豊かな都市軸の形成B「地域拠点」としてふさわしい都市デザイン、東大キャンパス跡地の基本方針としてC地域の活力、生活利便性、QOLの向上に貢献する機能の誘導D周辺地域と一体となったコミュニティの醸成・促進E災害時への対応の合わせて6つを設定した。
また、土地利用の方向性に関しては、「文教のまち≠リードする多機能ゾーン」で文化・教育・人材育成機能、周辺地域のニーズに合致した多様な生活支援サービス(子育て世帯向け、高齢者向け等)、生活支援機能(商業施設、各種サービス施設等)、医療施設・診療所、居住機能、「まちの骨格を形成する緑の軸」ゾーンで公園・緑道、オープンスペース等の緑地空間や飲食施設・交流施設、防災施設等、「質の高いライフスタイルを実現する地域コミュニティ」ゾーンでコミュニティ機能や生涯学習施設、居住機能、「産学官連携学際型研究」ゾーンで産学官連携を推進する機能(サイエンスパーク等)、グローバルキャンパスを推進する機能(カンファレンスセンター、研究者・留学生用宿舎等)、公民学によるローカル連携を推進する機能(地域連携施設等)の立地を想定。
こうしたビジョンに基づき昨年度行ったサウンディング調査では、調査対象9社(総合デベロッパー3社、住宅デベロッパー2社、商業デベロッパー2社、専門学校1社、流通業者1社)のうち、1社(専門学校)を除く8社が事業への関心を寄せ、8社すべてが提案募集(1次募集)へ参加したいとの意向を示している。