香川県総務部は6月20日、新県立体育館基本・実施設計業務公募型プロポーザルの2次審査結果を明らかにした。評価委員会の選定結果を基に、最優秀候補者を国内外で活躍する妹島和世氏と西沢立衛氏らによるSANAA事務所、次点に日建・タカネ設計共同企業体に特定。今後1カ月程度、具体的な設計内容について協議し、7月下旬に業務委託契約を締結する。
2次審査結果によると、SANAA事務所(東京都江東区)の評価点は技術提案が80点(配点100点)、プレゼンテーションにおける提案内容と質疑応答性の説得性50点(配点60点)、配置予定技術者(参加者・配置予定技術者の実績)6点(配点20点)、同(配置予定技術者の能力)20点(配点20点)で評価点合計は156点(配点200点)。日建・タカネ設計共同企業体(代表・日建設計大阪オフィス、大阪市中央区)は技術提案70点、プレゼン50点、参加者・配置予定技術者の実績16点、配置予定技術者の能力20点で、合計156点で同順位。このため「新香川県立体育館基本・実施設計業務公募型プロポーザル評価委員会(委員長・松隈洋京都工芸繊維大学教授)」で投票を行い順位付けを行った結果、最優秀候補者をSANAA事務所(5票)、次点候補者を日建・タカネ設計共同企業体(3票)に決めた。
この他、2次審査に参加した5者のうちSUEP(東京都世田谷区)が121点で3位、藤本壮介建築設計事務所(東京都新宿区)が118点で4位、坂茂建築設計・松田平田設計共同企業体(代表・松田平田設計、東京都港区)が113点で5位だった。
新香川県県立体育館基本・実施設計業務は今年2月に公告。現地見学会を2回実施した後に1次で37者に参加招請しこのうち32者が1次提案書を提出。1次審査を経て5月10日に5者に2次審査の参加招請を行った。
最優秀候補者に決まったSANAA事務所の技術提案によると、公園のような新しい公共空間で、アリーナレベルと公園レベルの2層構造、瀬戸内の風環境を考慮し分棟形式としたいろいろな使い方を可能にする平・断面計画。
構造性能・環境性能の合理性評価では単層グリッドドームとつり屋根、空間に透過性を持たせるV字架構の他、杭と液状化対策のサンドコンパクションを採用し新しい風景をつくる構造計画とした。また、各ゾーン単独の居住域空調方式と陸風を利用した自然換気を行うなど、地域の気候風土と結びついた環境計画を打ち出した。
この他、耐久性の高いチタン亜鉛合金板の屋根とフラットスラブによる地下掘削量の抑制に配慮。歩行者専用道路の代替機能を果たすエントランス広場と建物周囲のレストスペース、イベント広場などの独自提案も行った。SANAA事務所は金沢21世紀美術館、鶴岡市文化会館の他、県内では「海の駅なおしま」、海外でボッコーニ大学新キャンパス(イタリア)の設計を行った実績がある。
新体育館の基本計画によると、延べ床面積3万平方b。2018〜20年度で基本・実施設計、20年度に工事発注手続き開始し21〜23年度で工事を進め、23年度内に新県立体育館を開設する。
提供:建通新聞社