6月22日に開かれた東京都議会財政委員会では、都の入札契約制度改革をめぐり、事業者が入札に参加しやすい環境整備として平準化の必要性を指摘した薄井浩一氏(公明党)に対し、財務局の五十嵐律契約調整担当部長は「工事の集中期と端境期の発注件数比率を1・5倍程度にまで引き下げる目標を本年度に達成するよう各局と連携した取り組みを進めるとともに、これまでの取り組みを検証して2019年度以降の目標設定を検討する」との意向を明らかにした。
五十嵐部長は、平準化について都が16年3月に定めた目標について「発注件数で約3倍の開きがある10〜12月の集中期と、3〜5月の端境期との比率を、18年度中をめどに1・5倍程度まで半減するものだ」と説明。関係局と連携し、設計業務を含めた発注の前倒しや12カ月未満の工期の工事への債務負担の適用などを積極的に進めてきた結果、「17年度は集中期と端境期の件数の比率は2・2倍になった」と成果を報告した。その上で、「最終年度となる本年度は、目標達成に向けて引き続き各局と連携して取り組むとともに、これまでの取り組み内容を分析して19年度以降の新たな数値目標を検討し、工事発注時期の平準化をさらに推進していく」との意向を示した。
薄井氏はまた、建設業の働き方改革の推進に向けた取り組みに関連して社会保険加入が不可欠だと指摘し、発注者としての考えを尋ねた。
五十嵐部長は、入札契約制度改革の本格実施に当たり「工事現場で安心して働くことができる環境を整備するため、全ての工事契約案件で、社会保険未加入業者との1次下請け契約の禁止を約款に明記するとともに、施工体制台帳などによって確認する」との取り組みを説明。下請け業者の未加入が確認された際には、受注者に加入指導を行い、それでも未加入だった場合は「工事成績評定で減点措置を講じる」ことで実効性を担保するとした。
曽根肇氏(共産党)は、都内中小企業にとってのJV結成の重要性を指摘した上で、本格実施に当たっての取り組みを確認した。
五十嵐部長は「17年度の試行結果の検証を通じ、入札監視委員会から都内中小企業育成の観点から、JV結成のインセンティブをさらに高める取り組みを検討すべきとの指摘を受けた。これを踏まえ、総合評価方式の入札でJV結成時の加点幅を引き上げるとともに、(都内中小企業を含む)JV結成を単独項目として加点することにした」と説明。都の公共事業の重要な担い手である都内中小企業の育成に今後も重点を置く考えを示した。
これに対し曽根氏は、公契約条例の制定も視野に、単体で受注した事業者が都内中小企業を下請けとして活用するケースと、都内中小企業がJV構成員として参画するケースで賃金などに格差が生じないよう注文を付けた。
提供:建通新聞社