京都市交通局は22日、交通事業施設マネジメント計画案(2019〜2028)を明らかにした。
同計画案は、市バス及び地下鉄事業を安定運営していくため、各施設の計画的な保全による長寿命化を図り、ライフサイクルコストの縮減と財政負担の平準化を目的に策定した。土木の対象施設は交通局が管理する全ての土木施設で、地下駅30駅(23万5424u。地上駅の竹田駅を除く)、トンネル(30区間、3万1200m)、地下車庫(1万8870u、醍醐)、地下変電所(北大路、醍醐、山科、東山、天神川の5変電所、1万1290u)、地下通路(国際会館、北大路、六地蔵、石田、二条城前、西大路御池の6ヵ所)。建築物の対象施設は市バスの5営業所(延1万8986u)、1出張所(延1026u)、7操車場(延749u)、1車両工場(延3202u)、バス停上屋(367ヵ所、4332u)などと、地下鉄の地上駅(延1261u、竹田)、地上車庫(延1万6915u、竹田)、地下鉄出入口上屋(85ヵ所、延9644u)、1総合指令所(延4698u)、3事務所(延4781u)、1変電所(延1294u)、その他(延2810u、今出川地下鉄ビルなど)。
2016年度から2ヵ年で実施の健全度判定結果によると、トンネルのひび割れ判定では、AA判定(緊急に措置)、A1判定(早急に措置)は無かった。
烏丸線の国際会館〜北山でA2判定(必要に応じて措置)が1区間(1区間は20m。以下同じ)あった。北大路〜京都でもA2判定が1区間あった。東西線の醍醐〜二条でA2判定が2区間あった。A2判定の4区間は全ての箇所で断面修復などの措置を完了した。
今後は、通常の2年に1回の点検を引き続き実施するとともに、2020年度から2年間かけて詳細な点検(特別全般点検)を行う。費用は約1億6000万円を見込む。
予防保全の観点から、今後は湧水の止水対策を進めることとし、他の地下鉄事業者の止水対策の調査や最新の技術等を検証し、特別全般検査の結果を踏まえ、止水対策計画を2023年3月をメドに策定する方針。
構造補強などの抜本的な長寿命化対策は、建設後50年経過する時期を見据えて、特別全般検査の結果や他都市の先行事例などから、最適な管理方法を研究する。
一方、建築物は569棟のうち、築30年以上の建築物が約4万uと全体の6割を占める。新耐震基準の建築物が484棟、旧耐震基準の建築物が85棟。
今後は、点検を行うとともに、建設時の情報に修繕履歴などを加え、データ化を図る。施設別カルテを作成・公表し、「見える化」する。長寿命化を図る建築物の構造別に目標使用年数(最長80年)を定め、長寿命化を推進する。一定規模以上の建築物は保全計画を策定する。
予防保全のうち、長寿命化対象は市バス10棟、地下鉄116棟の合計126棟。構造躯体調査により判断が市バス6棟、地下鉄0棟の合計6棟。長寿命化対象外は市バス329棟、地下鉄22棟の合計351棟。
事後保全の長寿命化対象外(解体、建替え予定)は市バス83棟、地下鉄3棟の合計86棟。
長寿命化を含む保全費用は、市バスで2億7200万円、地下鉄で11億1200万円となり、両事業合計で13億8400万円(うち、長寿命化対策費用3億0200万円)を見込む。