東京都財務局は、設計など業務委託の品質確保策として、予定価格の公表を検討する。価格競争の案件の一部で、都の積算と応札者の見積もりにかい離が見られる中で、品質の確保と事業者の担い手の確保・育成につながる適正価格での応札を促すことが目的。一定規模以上の土木・建築・設備設計で義務付けている内訳書提出などに続く取り組みで、最低制限価格や調査基準価格の将来的な設定も視野に入れる。
都は調査や設計などの業務についても積算基準を作成し公表しているものの、予定価格については事前・事後とも公表していない。そのため、事業者にとっては、都の積算と自らの見積もりの妥当性を十分に検証することができない。また、調査基準価格や最低制限価格を設けていないため、プロポーザル方式や総合評価方式を除く価格競争による案件では低価格による応札が発生し、そのまま契約するケースも少なくない。
一方で都は、公共工事の品質確保の観点から、一定規模以上の業務でプロポーザル方式や総合評価方式など価格と価格以外の要素を総合的に評価する入札方式の導入を拡大している。また、低価格での落札を防ぎ、応札者の積算の妥当性を確認するため、一定規模以上の土木・建築・設備設計の競争入札では、入札(見積書提出)の際、積算内訳書の提出を義務付けている。さらに、プロポーザル方式では、採用された事業者の提出した技術提案書と、都の設定した予定価格が不均衡になっているケースが散見されたことを踏まえ、案件の公表時に参考業務規模(大まかな予算)を公表する取り組みも始めている。
都ではこうした取り組みを踏まえながら、適正な価格での契約をさらに促しつつ、担い手の確保・育成につなげるため、予定価格の公表を検討する。
6月19日に開かれた都議会本会議で、早坂義弘氏(都議会自民党)の代表質問に答えた武市敬財務局長は、設計などの業務について「建設工事の内容を決定する重要な業務」との認識を示した上で、「設計関係の業界団体などからは、一部の局で実施している総合評価方式の適用拡大や、予定価格の公表に対して強い要望が寄せられている。こうした点について検討を行うことで、品質確保につなげていきたい」と答弁。今後、具体的な検討作業を進める方針を打ち出した。
提供:建通新聞社