高知県土木部は、2011年から工事が中断しているはりまや町一宮線(はりまや工区)について、工事を再開する意向を明らかにした。6月補正予算案に2億3993万円を計上し、道路詳細設計や干潟・水面設計、石垣設計、用地測量調査を順次外注する。19年度以降用地交渉を順次進め、早期の着工を目指し、5年後の23年度の開通を目指す。
工事内容は、国道32号かるぽーと前交差点からはりまや橋小学校北東角までの延長283bで、現在の2車線道路を全幅24bの4車線道路に拡幅。最も狭い箇所で1・2〜1・4bの歩道も3bに拡張する。また道路拡幅により並行する新堀川に生息する希少動植物の保全については、川を覆っている駐車場の撤去と、横堀公園の一部切り込みによる日の当たる面積を拡大し、干潟と水面を創出する。沿線にある石垣や歴史的な史跡への配慮については、石垣を極力現位置で保存し、駐車場下でコンクリート護岸に改変されている箇所も昔ながらの石垣に復元する。対岸の川沿いの市道は「歴史の道」として整備する方針。
工事は3段階で実施する。まず歩行者の安全を確保するため、両側に幅員3bの歩道を整備、この拡幅で道路下になる石垣は、工事の支障となる上段の一部のみ取り除くが、できるだけ現位置で保存し、道路上に分かりやすく明示する。次に、渋滞の解消などのため車道の4車線化を進める。この際、新堀川を覆う駐車場を撤去し水面を創出、川の東側にあるコンクリート護岸は野面積みに復元し、歴史の道の整備も進める。最後に生物の主要な生息地の再現に向け、横堀公園の一部を切り込み、水面や干潟を創出する。そのため公園の石垣を移動させ、野面積みに復元、石垣を移動後も元の位置が分かるよう、杭などで明示する。
はりまや工区では、北側区間の延長467bが11年3月に完成したが、並行する新堀川に生息する希少動植物や周辺に残る史跡などを守る声が高まり、南側区間の工事は7年間中断している。県ではこの間、新堀川の環境調査や現道と周辺の交通量調査を実施、データを蓄積してきた。17年度には学識経験者や地域住民らで構成する「まちづくり協議会」を立ち上げ、計5回の会合を開き、整備の在り方について検討を重ね「新たな道路計画案」をまとめた。さらに4月には高知市の意見も聞き、工事の再開を決めた。
提供:建通新聞社