香川県はこのほど、2015年3月に策定した「南海トラフ地震・津波対策行動計画」に掲載している各事業について、3年間の評価結果(進捗状況)を明らかにした。同計画は「香川県地震・津波被害想定」や県地震・津波被害想定調査委員会からの提言などを踏まえ、短期集中的に実施する必要のある、防災意識の向上や防災リーダーの育成の他、建物の耐震化など、ハード・ソフト両面の防災・減災対策を具体的に定めたもの。▽事前の対策▽発災直後の対策▽早期復旧・復興対策の三つの柱で構成。15〜17年度まで3カ年の個別対象186事業のうち、A評価(実績で進捗率100%以上)153事業、B評価(同50%以上100%未満)24事業、C評価(同50%未満)は9事業で進捗率0%のD評価はなかった。特に、事前の対策としてハード・ソフトを組み合わせた総合的な地震・津波対策でのC評価(8事業)が目立った。
15年度から17年度までの3年間を計画期間に、「人的被害をゼロに近づける」行動計画に沿って、地震・津波対策を着実に推進してきた。一方で18年3月に、18年度から20年度までの3年間を計画期間とする新たな「行動計画」も策定しており、引き続き、毎年度、計画の進捗管理を行う。
ハード・ソフトを組み合わせた総合的な地震・津波対策の実施では災害拠点病院など、小中学校の耐震化支援や市町の防災拠点施設等建物の耐震化計画の働き掛けなどに加え、県立学校、県有施設の耐震化はいずれもA評価で達成しているものの、道路施設の耐震化で緊急輸送道路体制の整備促進、水道施設の更新・耐震化(水道管路の耐震化を20年度末までに32%以上)はB評価、ため池の耐震化で老朽ため池の全面改修整備(累計3529カ所)、県営ため池耐震化整備(耐震化補強工事40カ所)はいずれもB評価だった。
一方、災害発生を想定した道路整備の街路整備(停車帯を含む道路整備)や小規模ため池防災対策特別事業(管理放棄の防災上危険は小規模ため池について市町が主体的に防災措置。累計100カ所)はC評価だった。
民間住宅などの耐震化支援は進捗率が低く、いずれもB、C評価。民間住宅の耐震診断や耐震改修への補助事業を実施する市町に一部助成し、民間住宅の耐震化を促進する「民間住宅耐震化対策支援事業」(毎年度耐震診断1000棟)はC評価。また、緊急輸送道路沿道建築物等耐震対策支援(耐震診断など6件実施)もC評価。民間建築物耐震対策支援(民間大規模建築物の毎年度耐震改修1件、耐震診断20件実施)はいずれもC評価段階。県では今後、民間住宅等の耐震化支援で耐震化促進の裾野を広めるため、低コスト工法による民間住宅の耐震化支援を推進する。
この他、既存防護施設の老朽化などの確認・改修の着実な実施で地震・津波海岸堤防等整備(県管理河川堤防、19年度末まで15`整備)はC評価。住民らの避難を中心にしたソフト対策を組み合わせた総合的な対策で市町の福祉避難所の指定促進(指定・設置・運営マニュアルの作成率を17年度末100%)が進んでおらずC評価だった。
提供:建通新聞社