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鹿児島建設新聞
2018/06/08

【鹿児島】2017年度土木学会賞/鹿児島県が初受賞「山岳トンネルにおける大量湧水を減水するRPG工法」

土木学会 土木学会(大石久和会長)は「2017年度土木学会賞」を選定した。画期的な個別技術をたたえる技術賞(Tグループ)に、ヒ素を含む湧水の減水に成功した北薩トンネルの施工実績を基に、その設計手法・施工方法・施工管理方法を確立した「山岳トンネルにおける大量湧水を減水するRPG工法」が選定された。鹿児島県が受賞するのは初めて。
 北薩トンネルは、北薩横断道路「泊野道路」に計画された紫尾山を貫く延長4850mの山岳トンネル。出水市側1800m地点から100m区間で、高濃度のヒ素を含む地下水が湧出し、環境への影響が懸念されるため、減水対策工を実施した結果、湧水を減水することに成功したことが認められた。
 特長は、ダムのグラウチング技術に基づいた設計・計画・施工管理・改良効果の確認等を体系化し、亀裂性岩盤を対象に極超微粒子セメントを使用した日本初の施工方法。
 対策工の構造は、大土被りおよび高水圧下におけるトンネル構造の安全性を確保するため、トンネル壁面より3.6mの隔壁を取り、その外側に厚さ3mのリング状の改良ゾーンを構築することで課題を解決した。
 具体的には、対象区間の湧水量は、対策工施工前は150t/hあったものの、施工終了後には約40t/hに低減し、地下水位はトンネル天端付近にあったが、160cm方まで回復した。
同工法の確立には、北薩トンネル技術検討委員会や日特建設、日鉄住金セメント等のサポートにより確立できた。
 県土木部道路建設課、熊谷組・西武建設・渡辺組・鎌田建設JV、熊谷組・渡辺組JVの共同受賞で、表彰式は6月8日に東京都千代田区で開催される定時総会に合わせて行われる。


■木佐貫浄治県観光課整備対策監
貴重な体験に感謝

 道路建設課と北薩地域振興局土木建築課の4年間、県の担当者として携わった、木佐貫浄治県観光課観光地整備対策監は「県や施工者、コンサルタントが一体となって対策が打ち出せず、壁にぶち当たったことも。今年3月に供用した時は、感慨深いものがあった」と振り返った。
 技術検討委員会には、施工者の熊谷組のほかに、大手ゼネコンの技術者、学識経験者も入って議論が行われた。「対策は湧水を減水することしかなく、出先時代は毎週、初めに現場を訪れ、打ち合わせが続いた。試験施工で確認でき、本格施工となって、完成への道筋がやっと見えてきた。貴重な体験から、たくさん得るものがあった」と話した。


■画期的なプロジェクト
鶴田ダム再開発が受賞

 また、画期的なプロジェクトを顕彰する技術賞(Uグループ)には、国土交通省九州地方整備局(増田博行局長)が施行した「鶴田ダム再開発事業(ダム再生リーディングプロジェクト)」が受賞する。

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