徳島市は、JR徳島駅西側駐車場に計画している「新ホール整備事業」について、5月31日の市議会まちづくり対策特別委員会(事前)で概算事業費などを盛り込んだ基本構想を明らかにした。先の市議会(2018年3月)で示していた建設工事費に、土地の取得等に係る経費や土地整備費を加え(備品費は除く)、総額を約141億円(税込み)とした。この他、当初目標としていた23年度開館を、補償対象物件の移転や埋文調査などの実施でさらに5年ほど遅れ、28年度以降になる見通しも示した。
概算事業費約141億円の内訳は、建設工事費に約94億円、JR関係施設の移転補償などに係る土地整備費に約28億円、土地費に約19億円。土地は定期借地する。スケジュールについては、20年度まで調査や事前協議、交渉等を行い、20〜24年度はPFI手法による整備に向けて必要な手続き(導入可能性調査等、事業者選定、基本・実施設計)を進める一方、土地整理や補償対象物件等の移設、埋蔵文化財調査を並行して進める。続いて25年度から3年かけて建設工事を進め、28年度から開館準備等に入るとした。
施設計画等は基本構想(素案)から大きな変更はなく、敷地面積約4851平方bで、地下1階地上4階建て延べ約9000平方bの規模を見込む。主に1500席程度の大ホールと200席程度の小ホール(平土間空間でリハーサル室として併用)の他、創造支援ゾーンや管理エリア(事務室等)、共通エリア(エントランスホールなど)で構成する。
委員からは、新町西地区再開発事業の白紙撤回につながった音楽芸術ホールの買取価格156億円に近い事業費となった点や開館時期が5年以上遅れることになるスケジュールに難色を示し、事業の実現性を疑問視する意見が相次いだ。特に開館時期が遅れる点には、候補地自体を見直す必要があるとし、今一度原点に立ち返って県市協調で進めるべきという意見もあった。
説明で市は、概算事業費が高額となり、整備スケジュールも当初の想定を超えた点を踏まえた上で事業を進める考えを示す一方、さらなる検討が必要とし、今後は整備の事業手法などを専門家の意見を聞くなどして固め、事業費の抑制やスケジュールの短縮に努めたいとし、理解を求めた。
提供:建通新聞社