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日本工業経済新聞社(茨城)
2018/06/04

【茨城】水戸市が国道118号など21カ所で改善/バリアフリー基本構想


 水戸市は、2018年度から28年度までの市バリアフリー基本構想を策定した。盛り込んだ主なハード事業は、道路特定事業では国道118号(水戸中央郵便局前交差点〜裁判所前交差点)等21カ所で有効幅員の確保や視覚障害者誘導ブロック整備などを推進する。公共交通特定事業では水戸駅や駅北口・南口のバスターミナルのバリアフリー化促進など。建築物では泉町一丁目北地区再開発事業(新市民会館)についてバリアフリー法の認定を目指し誰もが安心して快適に利用できる施設として整備する。

 基本構想は、バリアフリー化法などに基づき、駅等の旅客施設を中心とした地区(重点整備地区。約290ha)においてバリアフリー化を重点的に推進するため策定した。
 対象期間は18年度〜28年度の11年間。前期(18〜23年度)の6カ年と後期(24〜28年度)に区分して整備を推進する。
 主なハード施策のうち特定事業では、公共交通では水戸駅のバリアフリー化(主体は鉄道事業者)を推進する。具体的には@エレベーターやエスカレーターの設備の更新(実施時期は後期)A劣化した視覚障害者誘導用ブロックの補修や改善(全期間)B車椅子使用者が利用しやすいよう券売機下部に車椅子利用者のひざが入る十分な奥行き(蹴込み)を設ける(前期)。
 水戸駅北口・南口バスターミナル(主体は県バス協会、バス事業者、市)では、@水戸駅構内からのアクセスはエレベーターの乗降口から極力段差の少ない構造とする(前期)A劣化した視覚障害者誘導用ブロックの補修や改善(全期間B、各バス事業者共通のインフォメーション施設を整備して乗り場や行き先などの情報案内を実施する(前期)。
 道路特定事業では、国、県、市が有効幅員の確保、舗装の改善、勾配の改善、歩道等と車道等の分離等を21カ所で実施する。
 都市公園では弘道館(主体は県)で、公園入口地区と正庁・至善堂地区で入口地区北側の管理用斜路や土塀の管理用出入口から入場できるように斜路のスロープ化や券売窓口からスロープへの通行路を確保する。既設園路については、不陸部や舗装損傷部を改修するとともに、砂利舗装部への砂利舗装材導入などにより通行しやすい園路に改善する。車椅子利用者の動線確保や指定地内の回遊動線を確保するため、新たに園路を整備する必要が生じた場合には地下遺構および地形に影響を与えないように簡易舗装などで整備する。トイレについては、管理事務所脇の公衆便所で便器の洋式化等の部分的な改修を行う。
 建築物では、建設を進めている市役所新庁舎で敷地内通路を段差の少ない構造とし、ゆとりある幅員(180p以上)を確保する。玄関付近の車椅子使用者用駐車場や、けが人などに配慮したおもいやり駐車場に屋根を設置する。
 泉町1丁目北地区に建設を計画している新市民会館では、公共交通利用者に配慮した施設の配置とすること、メインエントランスまでのアクセスは段差の少ない構造とする。
 水戸芸術館の東側に計画している駐車場については、歩行者と車両の動線分離を基本とした駐車場の配置とする。トイレについては車椅子対応、オストメイト対応設備、ベビーチェア、ベビーシート等を備えた多機能型を整備する。
 交通安全特定事業(主体は県公安委員会)では、信号機の設置や改良(LED式信号機、音響信号機、歩行者用青時間延長機能式信号機、歩行者待ち時間表示装置付信号機等)を行う。横断歩道にはエスコートゾーン(視覚障害者誘導用道路横断帯)を設置する。
 そのほか市街地再開発で、泉町一丁目北地区、水戸駅前三の丸地区で施設整備や周辺道路のバリアフリー化を推進する。
 バリアフリー化の事業のうち、新市民会館での主な事業は次のとおり。
 ◆アクセス動線
 ・国道50号のバス停留所からのアクセスを主要なルートとしたメインエントランスを設けるなど、公共交通利用者に配慮した施設の配置とする。
 ・メインエントランスまでのアクセスは段差の少ない構造とする。
 ◆駐車場
 ・地下駐車場にはエレベーター付近に障害者等用駐車場を整備する。
 ◆館内動線
 ・各エントランスから施設のインフォメーション、主要なエスカレーター、エレベーターを一望でき、迷うことなく移動できる施設の配置とする。
 ・廊下は段差の少ない構造とし、各所をスロープでつなぐ。車椅子使用者やベビーカー利用者に配慮したゆとりある幅員を確保する。
 ・エレベーターは車椅子使用者と介護者が同時に利用できる広さを確保し、点字表示に加え音声案内設備を設置する。
 ◆大ホール
 ・複数の場所に車椅子席を設ける。
 ・親子室を2室設置する。
 ・難聴者でも音を正確に聞き取ることができるようにヒアリングループの設置を検討する。
 ・車椅子使用者だけでなく、足腰の弱い高齢者、妊娠中の女性など、誰もが容易にホールを利用できるよう段差の少ない動線を計画する。
 ◆中ホール
 ・横通路部に車椅子席を設ける。
 ・車椅子使用者だけでなく、足腰の弱い高齢者、妊娠中の女性など、誰もが容易にホールを利用できるよう段差の少ない動線を計画する。
 ◆トイレ
 ・各フロアに車椅子対応、オストメイト対応設備、ベビーチェアやベビーシート等を備えた多機能トイレを整備し、使用者のさまざまなニーズに対応する。
 ◆その他
 ・施設利用に関する受付や案内の窓口となるインフォメーションを整備し、高齢者や障害者等のコミュニケーション支援に配慮する。
 ・インフォメーションには高齢者や車椅子使用者も利用しやすいローカウンターを設置する。
 ・子ども連れでも安心して施設を利用できるよう、託児室や授乳室はインフォメーションに隣接させるなど、分かりやすい位置に設置する。
 ・難聴者への支援として、移動式のヒアリングループを備える。
 ・補助犬用トイレを設置する。
 ・障害者団体等と連携して利用する全ての人がより使いやすい施設整備を行う。