今年2月の大雪で県内の大動脈である国道8号の福井県境部では4日間に渡り完全に機能不全に陥った。「前任(富山英範・前北陸地方整備局金沢河川国道事務所長)から十分な引き継ぎを受けており、その教訓を生かして関係行政機関とともに次の降雪シーズンまでに対策を練りたい」と気を引き締めるのは4月の人事異動で、出向先の愛知県建設部道路監から北陸地方整備局金沢河川国道事務所長に就任した山田哲也氏。
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00から02年度まで北陸地方整備局新潟国道事務所と本局で勤務した経験を持つ。「本局の道路計画課長時代には能越自動車道など石川県内の道路計画にも携わっていたので、さほど違和感はない。ただ、当時と明らかに社会状況が異なるのは、北陸新幹線が金沢まで開通したこと。観光客、とりわけ外国人が増えた」と変化に目を見張る。
事務所管内を俯瞰して「今回の職務は道路、河川、砂防、海岸、ダム管理と多岐に渡る。国内では異常気象による災害が多発しており、手取川・梯川総合水防演習などを通じての住民への情報提供や啓蒙活動に努めたい。また、インフラの老朽化対策も怠りなく進める。管内を早期に巡り、状況を把握したい」とし、「お会いした県内市町の首長さんからはインフラ整備に関するさまざまなご要望をいただいた。まだまだやるべきことはあり、できるだけ応えていきたい」と抱負を語る。
12年度から2年余り務めた関東地方整備局首都国道事務所長時代には、NEXCO東日本とともに東京外かく環状道路の千葉県区間を担当。「この道路は計画立案当初から地域住民の理解を得るのが難しく、環境対策として高架を半地下構造に見直した経緯がある。所長当時は遮音壁をつけたり、緑化を施すなど環境に配慮しながら慎重に工事を進めたが、今月2日に開通の運びとなり、ほっとしている」と目を細める。
出向先の愛知県建設部道路監時代(15から17年度)には、就任間もなく同県道路公社が管理する有料道路の運営権を民間へ売却する「有料道路運営等事業(有料道路コンセッション)」に従事。「道路利用者・地域、民間事業者、公社の三方一両得を目指し、道路特措法では有料道路の管理運営は公社等に限られているが、特区として保有権は公社のままで運営権を民間に売却することを認めてもらった。当時は国土交通省との調整などにあたったが、日本初の仕組みに携われたのは貴重な経験だった」と振り返る。
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やまだ・てつや 1969(昭和44)年10月生まれ。岐阜市出身。名古屋工業大学社会開発工学科卒。94年旧建設省入省。02年北陸地方整備局道路部道路計画課長、12年関東地方整備局首都国道事務所長、14年関東地方整備局道路部道路企画官、15年愛知県建設部道路監。技術士(建設部門)。