金沢工業大学は29日、白山市瀬戸辰地内「白山麓キャンパス」のオープニングセレモニーを行い、豊かな自然の中で国内の教育機関をリードし、世界に羽ばたく学生やイノベーターの誕生に期待を寄せた。
同キャンパスは旧かんぽの郷白山尾口を活用し、地域や産学連携の場となる「KITイノベーションハブ」とし、国際高等専門学校の1、2年生の全寮制校舎として、校舎棟(2階建て延べ5301・76平方メートル)、メゾネット式の学生寮(3階建て延べ6205・22平方メートル)などを建設。施設全体の延べ床面積は約2万4000平方メートルとなった。2016年11月に着工し、今春に完成。設計は五井建築研究所、施工は清水建設が担当した。
オープニングセレモニーでは同大理事長の泉屋利郎氏が「白山麓の歴史や生活を通して本当の日本の姿を理解してもらい、いろんな国から集まる学生たちの個性を伸ばしていきたい」とあいさつ。来賓として山田憲昭白山市長が「一歩進んだ考え方を国際基準で世界に発信できる場。大学の知力、若い人のパワー、いろんな企業も参画しており、産学連携が楽しみ」と祝辞を述べた。
国際高専校長のルイス・バークスデール氏が「学生は2年間、地域の歴史や文化、伝統を自分の価値観に取り入れ、世界に出かけて活躍してもらいたい」などと概要説明した。引き続き、出席者は真新しいキャンパス内を見学した。
国際高専(旧金沢高専)では、今回の新キャンパスを1、2年生約180人を対象にした全寮制とする。3年次は全員がニュージーランド留学、高専4、5年次および大学3年次は扇が丘キャンパス、大学4年次および大学院の2年間をやつかほリサーチキャンパスと、年次ごとに最適な学習環境を提供。15歳から大学院修了までの一貫教育を目指す。
「KITイノベーションハブ」では、実証実験や研究開発活動を行うラボスペース、研究成果の発表や連携先とのネットワーキングを行うコミュニケーションスペースなどがあり、白山麓の自然の中で持続可能な暮らしを支える新たな技術やサービスの実証実験ができる環境を備えている。
同日、地方創生イノベーションシンポジウムが開催され、金沢工大と先進的な取り組みをスタートさせた、独立行政法人情報処理推進機構をはじめ、NTTドコモ、五井建築研究所、日本木槽木管、フォーアールエナジーがそれぞれ事例発表を行った。