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北陸工業新聞社
2018/05/31

【富山】とやま新機軸/次世代につなぐ社会資本整備/富山県土木部長水口功氏/「10月、富山で国際防災学会」 

 ◆先人の努力 北陸新幹線開業を生かし、地方創生に向けた▽活力▽未来▽安心―の土木事業を展開。「土木の仕事は、県民がより安全で豊かな生活を享受できるように社会資本を整備すること。県民のための土木行政を推進していく」との方針を示す。事業は一朝一夕にできることではないと指摘し、「先人の努力や工夫の積み重ねの上に、今の暮らしがある。恵みを受けていることに感謝しつつ、さらに手を加え、磨きをかけて次の世代へ引き継いでいく」と着実な整備を進める。今年は、富山新港開港50周年、東海北陸自動車道が全線開通して10年の節目を迎える。10月にはインタープリベント2018(国際防災学会)が開催され、「立山砂防の世界文化遺産登録を目指しており、大きなイベントでもあるため、しっかりと取り組みたい」と立山砂防の顕著な普遍的価値や魅力を広く発信する。
 ◆交通ネット 陸海空の交通基盤では、東海北陸道の付加車線設置工事が17年8月に始まり、「早期全線4車線化が大きなテーマ。トンネル区間が長く対面交通の安全性に加え、太平洋側のリダンダンシー確保の観点からも促進を働きかけていく」と強調。地域高規格道路では国道8号豊田新屋立体、富山高山連絡道路、県事業の高岡環状線などを挙げ、広域的な交流ネットワークの充実を図る。日本海側の総合的拠点港である伏木富山港については、「伏木、新湊、富山の3地区ごとに整備を進め、さらなる機能強化を図る」と説明。1883(明治16)年、治水事業を優先するため、石川県から分県して誕生した富山県。「治水は県にとって常に基本。利賀ダム建設事業の1日も早い本体着工を働きかけるほか、引き続き河川改修や高波対策、海岸整備、土砂災害対策などを推進していく」とし、災害につよく強靱な県土づくりを目指す。
 ◆担い手確保 今冬の大雪で38豪雪に匹敵する降雪量を一時記録したが、おおむね道路交通は確保された。除雪を担ったのは県内の建設企業。「災害が起きたときにも頼りになるのは建設業。地域を支える社会資本整備の担い手であり、大事なパートナー」と捉えた上で、「地域に根ざした優良な建設企業がこれからも存続していくことは重要なことであり、必要な施策を打っていく」と建設産業の振興支援に努める。若手技術者らの入職・定着が業界の大きな課題となっている。週休2日制モデル工事として、「今年度は発注者指定型を導入し、50件程度を試行したい。完全週休2日を基本とし、4週8休を達成した場合でも成績評定で加点する」と制度の普及・実現を後押しする。ICT活用工事は10件程度を予定し、同様にインセンティブを付与する。働き方改革や建設現場の生産性向上により、若き担い手の確保につなげる。
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 みずぐち・いさお 東京大学工学部卒。82年県庁に入庁し、都市計画課長や道路課長、土木部参事、同次長などを経て、4月から現職。58歳。自己研鑽と組織によるチームプレイを重要視。「受発注者とも県民のための仕事であることに誇りを持って取り組んでいきたい」と語る。

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