東京都財務局は入札契約制度改革の本格実施に向け、予定価格事後公表や共同企業体(JV)の結成、調査基準価格・最低制限価格の算定基準など制度運用に関する詳細を固めた。予定価格を事後公表する比較的大型の案件では、公表(公告)時の工事発注規模(大まかな予算)を細分化する。JV結成義務の廃止に伴う混合入札では、都内中小企業が代表構成員として参加できるよう入札参加条件を緩和。中小企業が参加したJVには、総合評価方式での加点措置を拡充する。技術者育成モデルJV工事は、建築工事で予定価格9億円以上22億9000万円未満、土木工事で7億円以上22億9000万円未満の案件の中から選定して試行する。調査基準価格・最低制限価格の設定範囲については、予定価格の90%としていた上限を「92%」に引き上げる。6月25日以降に公表する案件に適用する。
建築工事で4億4000万円以上、土木工事で3億5000万円以上、設備工事で2億5000万円以上の案件に適用する予定価格の事後公表では、1回目の入札が不調になった場合、再発注時に事前公表する。工事の公表時に示す工事発注規模については、入札参加者を確保し不調を防止することを目的に、現行の区分よりも細分化する。見積期間は、入札参加希望者からの質問・回答の確定処理から入札書提出までの期間を「最低限5日間」とすることをルール化する。
JV関連では、中小企業が代表構成員として参加できるよう入札参加条件を緩和。新たに予定価格16億円以上22億9000万円未満の建築工事、2億5000万円以上22億9000万円未満の設備工事に代表構成員として参加できるようにする。
都内中小企業とJVを結成した場合、技術実績評価型と技術力評価型の総合評価方式で加点措置を拡充。これまでは環境配慮や女性活躍推進の実績などとともに0・5点(複数の評価項目に該当しても最大0・5点)の加点としていたが、JV結成の有無の評価を切り離し、単独で加点(1点)する。また、配置予定技術者が40歳以下または女性の場合、新たな加点措置を講じる。
技術者育成モデルJV工事については、代表構成員を大企業、構成員を中小企業とする入札参加条件を設定する。併せて中小企業の技術者(主任技術者または担当技術者)として、45歳以下の若手や中堅を配置し、工事完成後に育成成果に関する報告書の提出を求める。
調査基準価格と最低制限価格の算定基準(設定範囲)は、試行期間中の算定状況を踏まえ、ともに上限を予定価格の92%に引き上げる。算定式の異なる解体工事についても同様に上限を92%に設定する。
提供:建通新聞社