都政改革本部会議は5月21日に開いた会合で「入札契約制度改革の本格実施」の方針について了承し、6月25日(1者入札中止の取りやめは5月25日)から運用することを決めた。小池百合子知事は「入札監視委員会での試行結果の検証や、業界団体からのヒアリングを経て、中小企業が入札に参加しやすい環境づくりと、都の事業進捗にも配慮した形で一部内容を見直した。今後もより良い制度構築に向け、不断の見直しを行っていく」との意向を示した。
財務局は昨年6月から試行してきた入札契約制度改革について、「平均応札者が2割上昇し、1者応札の割合が半減した。より多くの方に入札に参加してもらい、入札の競争性や透明性を高めるという制度改革の狙いは、十分な成果が出ている」と説明。その上で、入札監視委員会による検証結果報告や業界団体ヒアリングでの意見、都議会での議論などを踏まえ「中小企業が入札に参加しやすい環境づくり、都の事業進捗への影響を配慮した仕組みづくりの視点から試行内容を見直した」とし、本格実施の方針を示した。
都が打ち出した方針は@予定価格は原則、事後公表(低価格帯は事前公表)AJV結成(義務の撤廃)は原則、混合入札を継続B1者入札中止は実施しないC低入札価格調査制度は、現行の取り組みを継続―の大きく4点。
予定価格については事後を原則としつつ、予定価格が一定価格未満の低価格帯工事(建築4億4000万円未満、土木3億5000万円未満、設備2億5000万円未満)は事前公表に戻す。
JV結成義務を撤廃し、混合入札を基本とする内容は試行と同じだが、中小事業者の技術力継承や技術力向上の機会確保に配慮し、総合評価方式の入札で中小事業者を含むJV結成を行った場合の加点幅を引き上げる。JVによる入札参加を条件とする技術者育成モデルJV工事も設定する。
1者入札の中止については廃止し、入札参加者が1者でも中止しないこととする。一方、1者入札が発生する背景を探るため、入札を辞退した原因などを入札参加申請者に確認する。
低入札価格調査(の適用拡大)に関しては、試行と同様に予定価格が建築4億4000万円以上、土木3億5000万円以上、設備2億5000万円以上の案件に適用し、これを下回る規模の工事は最低制限価格を適用する。低入札価格調査の際に設定していた「過去3年間の社会保険未加入の失格基準」は廃止する。
提供:建通新聞社