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北海道建設新聞社
2018/05/14

【北海道】白石区役所跡解体工事の完了先延ばし 石器発掘調査も

 札幌市白石区役所跡地の約1・7haから縄文時代の石器が見つかり、2017年度中に完了予定だった解体工事の完了が先延ばしとなっている。市街地のまとまった土地が希少性を増す中、跡地の利活用には民間事業者の関心も高い。札幌市は、ことし再試掘で本格的な発掘が必要かを調査するが、スケジュールがさらに遅れる可能性もあり、結果が注目されている。
 ■18年度に再試掘
 本郷通3丁目北1の1の敷地にあった区役所など行政機能は16年11月、地下鉄白石駅直結の複合庁舎に移転。当初は、17年度中に旧庁舎など敷地内建築の解体除却作業を終え、土地利用の方向性をまとめる予定だった。
 しかし、昨年7月に駐車場部分から縄文時代の石器が出土。このため市は、建築解体を完了させた後、解体に含まれる地中埋設残存物の確認作業を先送りした。18年度に再度、敷地北西の約7700m²を再試掘し、詳細な調査が必要かを判断する。
 詳細調査が必要になれば終了まで、残る解体作業や跡地活用ができなくなるが、試掘結果は年内に判明するため、土地の利活用検討は続ける。
 現状、市に明確な利用計画はないが、公共的な利用を最優先に、民間活用も視野に入れた検討を進め、年度内にも方向性をまとめる考えだ。
 地下鉄やJR駅から徒歩15分。利便性はそこそこだが、用途は近隣商業地域で建ぺい率80%、容積率200%と利用の幅は広く、市街地でまとまった土地が少なくなる中、その活用に民間事業者も関心を寄せる。
 ■民間の関心高く
 札幌市内の不動産関係者は「市街地でまとまった土地が少なくなる中、この立地であれば住居系や店舗用地としての需要は高い」とし、民間売却になれば店舗、高齢者住居、戸建て宅地や、これらを組み合わせた一体開発が進む可能性を示唆する。
 地場の開発事業者でつくる北海道住宅都市開発協会の担当者は、新築分譲マンションの坪単価平均が4000万円超えとなり、築浅の中古マンション価格も上昇傾向にある中、購入の中心となる30―40代のファミリー層が、手頃な戸建て取得に動く傾向にあると説明。
 「利便性はそこそこだが、その分、住宅購入層の手が届く価格になりやすく住宅用の適地」との見方だ。
 市街地では戸建て用地確保の競争性も高まっている。土地を専門に扱う「仕入課」を設け、取得に力を入れる地場大手のハウスメーカー・豊栄建設の担当者は「直近は駅から徒歩15―20分圏で、利便性と価格のバランスが取れた場所の土地取得は難しさを増している」と説明。
 「価格など条件はあるにせよ、(跡地で)民間への売却が決まれば取得に動こうと考えるのは、私たちだけではないはず」と動向を注視している。