東京都政策企画局は、インフラ点検へのドローン(無人航空機)の利活用に向けた調査業務を開始する。多摩地区と区部にある橋梁と水管橋でドローンを使った点検を実験的に行い、作業性や費用などを比較検討するなどして実現可能性を探る。
都が所管するインフラの多くが老朽化して更新期を迎え、それに対応するためのコスト削減と平準化が急務となっている。その対策として、定期的な点検を行って劣化状況を事前に予測し、大規模な対策が必要になる前に適切に補修していくことで施設を長寿命化させ、費用をできる限り平準化する「予防保全型」の維持管理にシフトしつつある。
この予防保全型維持管理では、定期的な点検の重要性が増しており、建設技術者の不足や維持管理のさらなる効率化、危険箇所を点検する際の安全確保といった課題への対応が求められている。
そこで、近接目視を原則としているインフラの点検業務にドローンを利活用することが可能か調査し、実現の可能性を探る。
まず、地方自治体や民間企業などでの先進的な事例を調べるとともに、橋梁と水管橋の部材を撮影するための条件を整理。次にカメラや赤外線カメラ、打音点検機器を搭載したドローンで、コンクリート桁橋のコンクリート部材のひび、鋼板桁橋の鋼部材の塗膜割れ、補鋼水管橋の亀裂・漏水の点検作業を実施する。
並行して従来の手法による点検も実施し、それぞれの手法に関する準備作業、点検作業、点検結果報告書の作成に要する時間とコスト、人員などを比較検証し、ドローンによるインフラ点検の課題や実現可能性を探る。 調査業務は5月30日開札の希望制指名競争入札を経て委託し、2018年度末までに成果をまとめる。
提供:建通新聞社