京都市は8日、左京区岡崎で進める京都市美術館再整備事業の進捗状況を市会文化環境常任委員会に報告した。
今年1月に起工式を行い、現在は新館建設に向けた掘削工事や本館改修に向けた内装及び天井の解体工事等を進めており、7月以降に新館の躯体工事及び本館地下の増築工事、本館外壁及び屋根アスベスト調査、本館耐震補強工事、本館外壁補修工事及び本館屋根葺き替え、本館内装工事、外構(スロープ広場)工事などに着手する予定。来年10月末の完成を目指す。施工は松村組(大阪市北区)。
本館改修工事においては、本館が80年を超える歴史的建築物であるとともに、文化財指定を目指しており、本館外観の保存が重要な要素となっている。
本館外壁の創建当初からのレンガタイルはサンプル調査の結果、劣化が当初の想定より進んでいる可能性があるため、今後、レンガタイルの全数調査を行い、経年による劣化状況の把握を行う。
また抜本的な防水対策が必要な本館屋根は、創建当初のデザインを継承しながら、銅板屋根と屋根下地材を全面的に葺き替えることとしているが、屋根下地材にアスベスト(非飛散性)が含まれていることから、劣化状況を調査した上で、劣化が著しい場合は、必要な飛散防止策を講じるなど安全性を確保し施工する。
本館地下1階部分にカフェ及びミュージアムショップのスペースを設けるとともに、再整備事業に含めなかった付属棟(事務所棟)は民間活力の導入によりレストランに改修する方針で、今年度中に事業者を選定する。また公募に向けて5月中に事業者との「官民対話」(募集要項の作成に際し意見交換を行う事業者を募集し、事業者の参加意向や事業者がより参加しやすい条件を把握する手法)を実施し、事業者の関心度を確認・醸成するとともに、活用イメージ等について幅広く意見を募集し、条件がまとまり次第、運営事業者の公募を行う考え。
官民対話の対象は京都市美術館のアメニティ施設の運営に関心がある事業者。官民対話の内容は▽運営イメージ(営業時間、運営形態、サービス内容等)▽出店条件▽設備に対する意見▽賑わいの創出に関するアイデア。
カフェは約290u、ミュージアムショップは約140u。付属棟はW造一部RC造地下1階地上2階建、延757・25u(建築面積276・75u)で高さ約11・6m。
このほか、リニューアルオープンに向けた準備業務を円滑に行うため、美術館運営の高度なノウハウ、国内外の美術館とのネットワーク等を有する委託事業者をプロポーザル方式の公募で選定する。委託事業者は7月をメドに決め、リニューアル準備を進める。
市会文化環境常任委の質疑で本館外壁のレンガタイルと屋根下地材のアスベストについて「レンガタイルは昨年サンプル調査を実施した。今後、足場を設け全数調査を行う。アスベストはアスベストモルタルという形で固定されている。ともに今年12月頃には調査等詳細が判明する。工期や経費に影響のないようにしたい」と市側が述べた。