今冬の歴史的な大雪で金沢市内では除雪が間に合わず、様々な交通障害が生じた。街なかの幹線道路でも路上に積もった雪の影響で片側1車線しか通行できず渋滞が続いた。連日に渡り通勤や通学、日常生活の移動に支障が出、車社会となった今、我々は道路除雪の大切さを改めて痛感した。しかし、市が委託契約している除雪業者の数は年々減少傾向にある。市は「新たな除雪業者を掘り起こしたい」とし、除雪体制の強化に向けて業者の力を求めている。
市がまとめた市内の除雪委託業者数等の推移によると、市の委託業者の数は08年度は146社だったが、17年度は127社(金沢建設業協会員53社、金沢建設防災協会員16社、その他非加盟58社)にまで減り、ここ10年間で2割近く減少。また、各校下に案内し、除雪対象路線以外の橋梁や歩道を除雪する除雪協力業者(委託業者と重複含む)は、同じく10年間で115社から63社と半分近くにまで減っている。
一方、市道除雪延長は10年間で1000キロから1038キロと38キロ増えている。これを単純に捉えると、1社当たりの除雪延長が増えていることになり、「業者の負担が大きくなっている」と市の担当者は心配する。
市では道路除雪計画に基づき、主要幹線の1次から市街地の5次までの路線で、積雪量に応じて除雪を迅速に業者に依頼しているが、今回のような断続的な大雪に除雪作業は追い付かなかった。
市は除雪業者の減少について、長引く不況による倒産や規模の縮小などを主な要因に挙げる。また、普段の工事では建設機械やダンプなどをリースで使用し、自社で重機を保有していないことや、除雪オペレーターや交通誘導員といった作業に携わる人手の不足も影響しているという。
ある業者によれば、そもそも除雪作業は収益性が低く、正直なところ「面倒臭い」と感じる部分もあるという。除雪車の維持費や人手の確保を考えた場合、採算に合わず、さらに建設不況で除雪を続ける企業体力がないことが、致し方なく除雪作業から手を引く理由だとする。
市は今冬の大雪で明らかになった課題の解決に向けて先般、学識経験者や市民団体、建設業界、交通事業者らからなる市道路雪害対策検討委員会を立ち上げ、対応方針の検討を開始した。道路除雪計画の見直しでは、除雪委託業者及び除雪機械の掘り起こし、委託業者への除雪指示方法の検討、計画路線における除雪作業状況の「見える化」なども検討する方針。
地域の除雪を担う建設業。地元住民の冬の暮らしを守るためにも、業者の「もうひと踏ん張り」に期待が寄せられている。