北海道建設新聞社
2018/05/02
【北海道】旧日本郵船小樽支店の大規模改修を計画 19年度から3カ年
小樽市は、重要文化財旧日本郵船小樽支店の大規模改修を計画している。耐震補強と屋根のふき替えがメインで、総事業費は5億円規模を見込んでいる。耐震工法は、引張補強材(アラミドロッド)を用いた工法を想定し、4月27日付で実施設計を文化財建造物保存技術協会と契約した。業務期間は12月末まで。施工は2019―21年度の3カ年を予定している。
色内3丁目7の8にある旧日本郵船小樽支店は、1904(明治37)年着工、06年完成の近世ヨーロッパ復興様式の純石造建築物。規模は2階建て、延べ964m²で、東大工学部の前身、工部大学校造家学科第1期卒業生の佐立七次郎が設計した。外壁に小樽軟石、腰・胴蛇腹・軒部分に登別産中硬石を使用。内部はしっくいを厚く塗り、窓は木製サッシの二重窓で、外側には建設時から付属しているアメリカ製のシャッターを備える。
55年に市が日本郵船から譲り受け、78―87年にかけて大規模修繕するなど、小樽市を代表する歴史遺産として保存に努めてきたが、完成後100年以上の時が経過し、新たな老朽化対策が必要な状態となっている。
これを受け、市では2013―14年度に事前調査を実施し、長期保存に向けた耐震性の確保が必要と判断。他都市の施工例などを参考に工法を検討した結果、柱や壁に引張補強材(アラミドロッド)を垂直に挿入する工法が、外観に影響を与えない点から有力視されている。このほか、トラス構造の屋根のふき替えや壁紙の一部張り替え、外壁塗装などを予定している。