北海道建設新聞社
2018/04/27
【北海道】観光施策で地域振興を 田岡石狩市長に聞く
■道の駅拠点に食の魅力発信
27日に道の駅石狩「あいろーど厚田」が開業する石狩市。地域の食や歴史をPRする施設で、国道231号線沿いの日本海を眺められる新たな顔としてにぎわい創出が期待される。開業を契機に今後どのような観光振興を考えているのか田岡克介市長に聞いた。
―あす開業する道の駅に期待することは。
大きく3つの役割を果たしてもらいたい。1つ目はニシンなどの海産物や地元野菜を使った食の魅力を伝えること。2つ目は地域産業が循環する場となること。どんどんお土産を売ってほしい。3つ目は防災の拠点になること。例えば、吹雪の時に立ち往生する人が多いため、そういう場合は道の駅に駆け込んでほしい。
―施設の見どころは。
買い物や飲食コーナー、景色を眺める展望フロアだけではなく、北前船でニシンを運んでいたことや厚田周辺地域の歴史を伝えるコーナーも備える。周辺にはキャンプ場やプールもあるので、目的を持って楽しむ滞在型の道の駅として利用してもらいたい。
―どのような観光施策に取り組むか。
道の駅開業は観光施策全体で見ると、まだまだ序の口。石狩湾新港があることから産業色が目立つが、昔から海岸線を走る自動車やバイク、自転車で訪れる人が多く、観光地としても魅力的だ。
自転車については2018年度、活用推進計画策定に着手する。自動車が走りやすくなるよう走行環境の改善、道の駅を含めた受け入れ環境の充実、イベント誘致などの施策を検討する。
また、都市部から厚田、浜益方面に北上すると海岸線の景色に加え、厚田区安瀬から濃昼(ごきびる)を結ぶ約11`の濃昼山道、国道231号線の開通記念碑裏にある白銀の滝といった自然がある。この自然をより生かそうと、18年度は市内に生息する動植物の調査に取り組むほか、濃昼山道で行われているトレイルランのコースを説明するガイド、ランナーをもてなすボランティア育成に取り組む。将来的には都市部から厚田、浜益、さらには暑寒別岳を囲む周辺自治体などを包括する観光地としたい。
―道の駅の活用を含めたまちづくり全体の展望は。
札幌に近いけれど少し移動すれば自然環境に恵まれている点は、次の世代に豊かさを感じさせる可能性を持っている。風力発電やホテル建設など道内外を問わず外からの投資が多いことも生かさなければならない。道の駅も単純な観光客数や売上金額だけではなく、例えば歴史や文化的な背景を丁寧に説明するなど、一人一人の満足度を高め、「また来よう」と思う人を増やすことが重要。観光で地域振興できるよう、しっかりと各施策に取り組みたい。
田岡 克介氏(たおか・かつすけ)石狩市出身、1945年10月11日生まれ。68年国学院大卒業後、石狩町(当時)役場入りし、助役などを経て99年に初当選。現在5期目。