日本建築家協会北陸支部福井地域会(出田吏市会長)の18年度通常総会は21日開かれ、17年度の事業報告・決算、および18年度事業計画・予算案などを慎重審議し、原案通りすべて了承した。
冒頭出田会長は、地域会らしく建築物の質の向上と建築文化の創造発展に寄与する意義をまじえて挨拶。日本建築家協会(JIA)が公益社団法人として6年目を迎え、地域会としては新建築家協会発足から31年目に入る歩みも踏まえた。
18年度も毎月の例会(原則第3木曜日)に併せて恒例企画を充てて開催していく。第17回夏休み児童絵画コンクールは7月から作品募集し10月に表彰式を行う。テーマを「たいせつなこと」と今総会で決めた。県内小学校高学年を対象に、会員が審査し、順位を付けず優秀作品賞を20点程度選出する。新企画として建築ウオッチングを8月に実施。9月13〜15日のJIA建築家大会2018東京に参加。5回目の節目を迎える「ふくい建築賞」は今回も福井の設計3団体である建築士会、建築士事務所協会、JIA福井地域会が共催し、他県に誇れる建築賞を目指す(11月に公開審査し表彰)。30年目の建築文化講演会は広く活躍する建築家を講師にまねき12月上旬に開催する。事業方針として全会員で事業成功へむけ協力し、会員相互の交流と理解を深め、自己研さんをし、市民の目に見える公益法人活動の第一線に立つ地域会JIA会員として地域に貢献していきたい考え。
特別講座「今こそ高めよう、文化の力」
総会に続き、文化庁地域文化創生本部総括・政策研究グループ研究官の朝倉由希さんを講師に招いた特別講座「今こそ高めよう、文化の力」が開かれた。歌門敬二県建築士会会長と櫻川幸夫県建築士事務所協会会長が来賓挨拶し、協力会員らとともに聴講した。朝倉氏は、福井地域会の吉田修二郎直前代表がボランティアガイドを務める一乗谷朝倉氏遺跡を縁に実現した。吉田氏が講師紹介し「建築は文化で、地域の文化を考えることは福井らしい建築にもつながる」と期待し関心を高めた。朝倉氏は地元(福井市鹿俣)で取り組む地道な文化活動にも触れながら「インバウンドが増えるなか文化財の経済的な価値を優先し、稼ぐ文化として重視する傾向に。しかしそれは中心を担う文化的な価値が生み出した結果であり、文化財の修理などより良く保存する循環活用ならいいが、補助金漬けで一過性のイベントに終始するならテーマパークでも作ればそれで十分 」と指摘。「文化財固有の数字に表れない成果(本来的な魅力)に配慮し、保存と活用の在り方を考えたい」などと強調した。