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建通新聞社(東京)
2018/04/20

【東京】築地まちづくりの“大きな視点”で骨子まとまる

 東京都が設置している築地再開発検討会議(座長・近藤誠一元文化庁長官)は4月19日、都庁内で開いた会合で「築地まちづくりの大きな視点」の骨子案をまとめた。東京の魅力を内外に発信できる持続可能な拠点などをまちづくりの目標として設定。開発に当たっては、23fに及ぶ築地市場跡地を段階的に整備し、一定の区域は将来のニーズ喚起などに備えて戦略的に確保(残す)ことを提案している。区域内を大きく四つに分け、空間のイメージも提示した。今後詳細を詰め、5月中に検討会としての意見を取りまとめる。
 同検討会では、築地の新たなまちづくりに当たって「将来の都民にとっての価値を最大にすること」「世界一の環境都市東京の実現に寄与すること」「東京の魅力を内外に鮮明に発信できる持続可能な拠点すること」の三つを目標に設定。これを実現するための視点として▽立地条件の最大限活用▽時間軸を見据えた周辺との有機的つながり強化▽地域のブランド価値の再構築▽新たな築地が持つべき機能と空間の在り方▽ガバナンス体制の構築―の5点を掲げた。
 立地条件の最大限活用では、隅田川や東京湾の舟運、環状第2号線や高速晴海線といった道路整備計画、都心と臨海副都心を結ぶ地下鉄構想など海・川・陸のルートが交差する要所に築地が位置していることから、舟運や道路、バス、地下鉄などの交通結節点を戦略的に形成すべきだと提案。一方、整備中の環状第2号線によって地区が分断されるため、アクセスなどの課題に対応しながら、浜離宮恩賜庭園との連続性を生かすことが必要だとした。
 周辺との有機的なつながりの強化については、都心に残る23fもの大規模敷地の開発では、時間軸を意識しながら適切な事業を順次実施していくことで、周辺地域の付加価値の向上につなげることが重要だと指摘。周辺の歴史資産や文化資産などを結び付け、連携を強化するよう、歩行者ネットワークの形成を求める。
 また、道路や地下鉄などのインフラ整備は利便性を向上させ、地域の発展や価値向上に効果がある一方、長期的な時間軸で考えていく必要があるため、築地地区の開発については段階的に実施することで価値を最大化すべきと提案した。
 空間の在り方については、浜離宮恩賜庭園と接する区域を、築地川沿いの親水空間を生かし、同庭園との一体性を考慮した緑豊かな空間とするとともに、車両アクセスの検討が必要だとした。隅田川に面した区域は、質の高いオープンスペースを確保するとともに、広域的な交通結節点を整備する他、川沿いの親水空間を生かした、にぎわいや活性化につながる施設の検討を求める。
 市場跡地の中心区域は、将来のインフラ整備などを勘案しながら、広域的な視点から東京の将来を担う機能を段階的に導入することとする。場外市場と接する区域については、船着き場との一体性や効果的な活用を考慮し、交通広場など交通結節機能・防災機能を確保するよう提案している。

提供:建通新聞社