東京都教育庁は、大島海洋国際高校(大島町)の2020年度の学科改編を踏まえ、老朽化した既存建物の改築に向けた検討作業を進めていく考え。事業内容の検討と合わせて他の都立高校の改築などと優先度を明確化し、改編(開校)後に校舎や寄宿舎の建て替えを進めていく方針だ。
大島海洋国際高校(大島町差木地字下原996ノ1、敷地面積約4万2000平方b)は寮制を採用した都立高校。実習船による基礎航海や国際航海を通じて国際感覚を備えた人材の育成を目指した教育を行っている。
ただ、以前の大島南高校水産科時代に比べ入学者選抜の応募状況が低く、海洋系では海洋に関する分野を進路として選択する生徒が多い一方、国際系では専攻と関係の薄い進路を選択する生徒が多いという。こうした状況を踏まえ都は、実習船を活用した新たな海洋教育を展開するとともに、海洋産業や島しょ振興にもつなげる方針を打ち出し、有識者による検討会議で同校の在り方の検討を進めてきた。
その結果、同検討会議では、20年4月をめどに現在の国際科2学級を水産科(2学級)に改編し、海技従事者など世界を舞台に活躍できる人材や、海洋生物の保全や増養殖など水産資源分野で活躍できる人材、港湾産業や海洋レジャー産業を支える人材の育成に取り組むべきとの報告書を作成。建造中の新しい実習船の活用などを含め、新たな理念の実現に向けた検討を進め、都立高校改編推進計画などに明確に位置付けることを求めた。
教育環境の整備については「理念に沿った教育などの諸活動を安全・円滑に実施するために必要な施設・整備がどうあるべきか、教職員や生徒の動線などを考慮した配置などについて総合的に検討する必要がある」と指摘。また、環境整備までの期間は「既存の施設・設備を有効活用しつつ、実験実習を実現できるよう他機関と必要な調整を行う」よう提案した。
同校には現在、既存施設として校舎(A・B棟、延べ床面積4490平方b)や体育館(2658平方b)、武道場(781平方b)、生徒部室(330平方b)、プール(25b×15b)などがある。また、寄宿舎が別の敷地(約3万4000平方b)にあり、管理棟(1297平方b)や多目的ホール(2217平方b)、4棟の寄宿舎(5010平方b)を配置している。多くの建物が完成から40年以上経過しており、老朽化への対策が求められている。
そのため都では、20年4月の改編(開校)後をにらみ、既存施設の改築を視野に、新たな理念や教育課程に対応する施設整備の手法や事業内容、規模などの検討作業を進め、設計や工事などのスケジュールを固めていく。
提供:建通新聞社