建設新聞社
2018/04/12
【東北・福島】大熊町が復興拠点交流関連3施設、福祉関連3施設の基本設計プロポ
原発事故災害からの町土復興の第一歩として、町内の大川原地区に復興拠点の整備を進める福島県大熊町は、交流ゾーンに建設する3施設(交流ホール、商業施設、宿泊温浴施設)と、医療・福祉ゾーンに整備する3施設(認知症グループホーム、福祉事業者事務所、住民福祉センター)について、それぞれゾーンごとの基本設計者を選定するため、11日付けで公募型プロポーザルの手続きを開始した。
同町では、原発事故から7年が経過した現在も全町避難が継続しており、空間放射線量が低い大川原地区(大熊町大川原南平地内)を復興拠点と定め、除染やインフラの整備などを先行して進めている。今回、町民が安心して居住できる場所づくりを進めることで「帰町を選択できる環境」の提供を目指す考えだ。
2件共通のプロポーザル参加資格は、福島県または隣接県(宮城県、山形県、新潟県、群馬県、栃木県、茨城県)内に本社、支社、支店等を有することなど。
参加形態は交流ゾーンが単体企業か設計共同体で、受注実績は国または地方公共団体による延床面積1000平方b以上の交流ホール等の新築基本設計。一方、医療・福祉ゾーンの対象は単体企業のみで、受注実績は認知症グループホーム新築工事の基本設計となっている。
いずれも参加申込書など一次審査書類の提出期限は今月24日で、一次審査を25日〜26日に行い、翌27日に結果を通知し、二次審査への技術提案を求める。
提案を求めるテーマは、交流ゾーンが▽交流ゾーン全体の施設整備の考え方▽交流ホール、商業施設、宿泊温浴施設の設計の考え方▽業務の進め方―の3点。医療・福祉ゾーンは▽医療・福祉ゾーン全体の施設整備の考え方▽認知症高齢者グループホームの設計の考え方▽業務の進め方―となっている。
二次審査書類の提出期間は27日〜5月25日までで、6月上旬の二次審査でプレゼンテーション・ヒアリングを行い、事業者を選定するスケジュール。
交流ゾーン(敷地面積1万5320平方b)に整備する交流ホールの規模は、S造平屋建て、延べ1450平方bを想定。延べ約600平方bでイス400脚程度を置ける広さの多目的ホールを中心に、運動スタジオ、会議室、図書スペース、更衣室、会議室、トイレなどを設ける。
商業施設はS造平屋建て、延べ550平方b規模とし、内部に飲食店4店舗、小売店2店舗、理容店1店舗、コインランドリー1店舗に加え、共用トイレを3カ所設置。宿泊温浴施設はS造平屋建て、延べ1060平方b規模で、居室16室を中心とする宿泊棟(約560平方b)と、浴室、脱衣室などで構成する温浴棟(約500平方b)を建設する。
また、併せてゾーン内に建設を予定しているスーパー(延べ350平方b程度)、郵便局(延べ120平方b程度)の配置計画検討と外構、駐車等の基本設計も作成する。基本設計の契約限度額は2999万3000円(税込み)。
一方、医療・福祉ゾーン(敷地面積約5830平方b)に整備する認知症グループホームは、W造平屋建て、延べ800平方b規模とし、1ユニット9床の合計2ユニットを設ける。
福祉事業者事務所の規模はS造平屋建て、延べ200平方bで、執務室や会議室などを設置。社会福祉協議会が入居し、地域福祉に関する活動スペースとなる住民福祉センターはS造平屋建て、延べ480平方b規模で、将来的に町が敷地内に整備するS造平屋建て、延べ200平方bの診療施設については配置の検討を行う。基本設計の契約限度額は1449万円(税込み)。
2件とも基本設計の履行期限は9月28日までとなっており、完了後にそれぞれ実施設計や施工業者の選定を進める。
商業施設は実施設計と施工は別途でそれぞれ入札を行う方針で、このほか5施設については実施設計・施工の一括選定に向け、公募型プロポーザルの実施を検討している。
なお、概算事業費は交流ゾーン全体が約25億9000万円で、内訳は交流ホールが12億5000万円、商業が5億6000万円、宿泊温浴施設が7億8000万円。医療・福祉ゾーンの全体事業費は10億7000万円で、認知症グループホームが5億円、福祉事業者事務所が1億3000万円、住民福祉センターが3億1000万円、診療所が1億3000万円となっている。
提供:建設新聞社