トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(神奈川)
2018/04/03

【神奈川】川崎市新本庁舎 復元棟関係の分離発注検討

 川崎市は、市役所新本庁舎建設で、超高層棟と低層棟(旧本庁舎の復元棟)を分割して工事発注する方向で検討している。分離分割発注により、各業種の市内企業の受注機会増大を図るのが狙いで、工区割りをどうするか、実施設計の中で検討を進めており、復元棟の設備関係工事も超高層棟とは別に発注する模様だ。超高層棟関係の工事(建築、電気・通信、空調調和設備、衛生設備、昇降機設備)は2018年度第4四半期に入札する予定だが、復元棟関係の工事は、超高層の建設工事がある程度進んでからの発注となる見通しだ。
 基本設計によると、新本庁舎は、旧本庁舎跡地に建設する超高層棟とアトリウム、復元棟の他、第2庁舎を取り壊した後に整備する広場で構成する。建築面積4355平方b、延べ面積6万3200平方b。
 このうち超高層棟は鉄骨造鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造の地下2階地上25階建て延べ6万1600平方bで、4階下が免震構造となる。高さは116b。建築、電気・通信設備、空気調和設備、衛生設備はWTO対象の総合評価方式として、昇降機設備は通常の総合評価方式で発注する。建築工事には復元棟の基礎建設や旧本庁舎地下解体などを含む予定。入札予定時期は18年度第4四半期(19年1月〜3月)。大規模案件の総合評価方式で入札手続きに時間がかかることから、早ければ18年度第3四半期に入札公告手続きを行うことも考えられる。
 一方、復元棟は鉄筋コンクリート一部プレストレストコンクリート造地上3階建てで、基礎形式は杭基礎。旧本庁舎は1938年2月に竣工し、戦前、戦中、戦後を通じて庁舎の役割を果たしてきたことから、歴史的な価値が感じられるように、時計塔や正面玄関、市長室なども創建当時の姿で復刻する。石材、金属装飾、木材、建具、階段手すりなどは旧本庁舎のもの再利用する。
 また、復元棟は、超高層棟から独立した配置にするとともに、西側の一部をピロティとし、跡地理有無のガラス屋根と一体となったアプローチ空間を生み出す。また、屋上は庭園として整備する。
 基本設計に基づき試算した概算事業費は全体で約440億円。内訳は新築工事(旧本庁舎地下部分解体を含む)が約410億円、第2庁舎解体・広場・周辺道路など整備などが約10億円、調査・負担金・その他が約10億円。
 基本・実施設計は久米設計(東京都江東区)が担当。建設地は川崎区宮本町1他。
 川崎市は昨年9月11日の市議会本会議・代表質問に対して、施工上の課題に対応しながら、▽高層棟と低層棟の分割発注▽建築電気設備、空調設備、給排水衛生設備の分離発注―について検討していく方針を表明。工事の分離分割発注について▽敷地が狭く工事ヤードが限られること▽高層棟と低層棟は構造・設備的に一体であること▽入札で不調があった場合に他の工事が進められないこと―などの課題を挙げながらも、各業種の市内企業の受注機会増大に配慮する必要があり、課題に対応しながら分離分割発注について検討するとしていた。

提供:建通新聞社