東京都建築物環境計画書制度改正に係る技術検討会(会長、村上周三建築環境・省エネルギー機構理事長)は、3月27日に開いた会合で制度再構築に向けた大まかな方向を整理した。環境計画書の提出義務の対象を延べ床面積2000平方b以上の建物に拡大するとともに、「再生可能エネルギーを含む電力利用検討義務」を新たに導入し、再生可能エネルギーが多く含まれる電力を調達(オフサイト)した場合も環境計画書で評価する仕組みを整える。建築物の環境性能に関する総合評価制度(CASBEE)の評定結果も環境計画書と同様に取り扱うことができるようにし、事業者の負担を軽減する。今後、評価の詳細などを詰め、都の2020年度の運用開始に備える。
制度の再構築ではまず、これまで延べ床面積5000平方b超の建物の新築や増築の際に義務化していた建築物環境計画書(取組評価書)の提出を「延べ床面積2000平方b以上」に大幅に拡大する。5000平方b超の建物は従来と同じ@エネルギー使用の合理化(断熱性、省エネ性、再エネ導入)A資源の適正利用B自然環境の保全Cヒートアイランド現象の緩和―の4分野全ての環境配慮措置の記載を義務付ける。2000平方b以上5000平方b未満の建物はエネルギー使用合理化の分野だけを義務化し、残る3分野は任意とする。2000平方b未満の建物はエネルギー使用の合理化の分野に関して任意で提出可能にする。
「再生可能エネルギーを利用するための設備の導入検討」の対象もこれまでの延べ床面積5000平方b超を「延べ床面積2000平方b以上」に改める。太陽光発電や太陽熱、地中熱、バイオマスなどの設備を対象とし、設置可能場所や面積、導入の有無、導入容量などの検討を求めるとともに、導入を見送る場合はその理由を提示させる。
また、高層建物や狭い敷地に建築される建物が多く、太陽光発電設備などを設置しても発電した電力だけで建物の消費電力を賄うことが困難な都内の実情を踏まえ、新たに「再生可能エネルギーを含む電力の利用検討義務」を導入する。延べ床面積2000平方b以上の建物を対象とし、再生可能エネルギーが多く含まれる電力を調達した場合に、環境計画書で評価する。ただ、建物の計画段階でエネルギー事業者が決まっていないケースや、エネルギー事業者を決めることが足かせとなって不動産価値が低下することなどを不安視する声もあるため、記載項目や評価内容は今後検討する。
さらに、非住宅用途建物の環境性能評価に、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)評価を導入。省エネルギー性能が特に高い建築物を明確に評価することで、都が普及を先導する。
この他、延べ床面積5000平方b超の建物では、CASBEEによる環境性能評価を受けていても都の環境計画書の提出が義務付けられているが、これを「環境計画書の提出またはCASBEEの評価結果を用いた提出」のいずれかを選択できるようにして事業者の負担を減らす。
提供:建通新聞社