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西日本建設新聞社
2018/03/13

【熊本】4人増の13人死亡 地震復旧で「墜落・転落」激増 2017年県内労災

 熊本県内で2017年に発生した建設業関係の労働災害死亡者は前年より4人多い13人となり、04年以来13年ぶりに10人を超え、03年の15人に次ぐ数となった。
  熊本労働局が、死亡者を含む休業4日以上の労働災害発生状況を速報値(2月7日現在)としてまとめた。全産業の死亡者は22人で前年の15人から大幅に増加した。建設業が約6割と突出し、ほかは運輸交通業と警備業各2人、製造業、港湾荷役、農業、教育研究、清掃・と畜業が各1人。建設業が増えた要因として、熊本地震からの復旧・復興に伴う工事量増加をあげており、地震関係で6人が死亡している。
 建設業は土木工事1人、建築工事11人、その他の建設1人。型別にみると、墜落・転落9人、交通事故1人、崩壊・倒壊1人、はさまれ・巻き込まれ1人、転倒1人。7割近くを墜落・転落が占めており、公共工事に比べ民間、特に建築工事での死亡が急増した。
 死亡を含めた休業4日以上の労災は、前年より5人多い1875人。0・3%増にとどまっているものの、建設業は57人(17・2%)増の388人となり、1994年以来23年ぶりに製造業を上回った。
 建設業の現状を健康安全課の中濱義輝産業安全専門官は「戸建住宅の補修や新築需要が今後3〜5年は続くのではないか。小規模な工事現場でも労災は発生する。特に足場からの墜落・転落防止には万全の対策を講じてほしい」と話す。引き続きパトロールや指導を実施していく方針だ。
 建設業関係の死亡事故発生状況は次のとおり(業種=@発生月A型B起因物C発生状況)
 ▼その他建設業=@1月A交通事故(道路)B乗用車C軽ワゴン車に4人乗車し現場に向かっている途中、国道の左側ガードパイプに衝突し、約9・5b下の市道に転落した。1人死亡、3人負傷
 ▼建築工事業=@2月A墜落・転落Bはしご等C脚立に乗って、屋根の板金工事を行っていたところ、バランスを崩し墜落した
 ▼その他建設業=@3月A墜落・転落B屋根C工場のスレート屋根上の避雷針を整備する工事中、歩み板など設置していなかったため、スレート屋根を踏み抜き、16b下に墜落した(地震復旧)
 ▼土木工事業=@5月A墜落・転落B作業床、歩み板C高さ22bの法肩部分で測量していたところ、誤って崖下に墜落した
 ▼その他の建築業=@8月A墜落・転落Bはしご等C天井塗装作業を行おうとしていた被災者が、床に倒れている状態で発見された。発見される直前に大きな物音がし、付近に脚立や養生シートが置かれていた
 ▼その他の建築業=@9月A墜落・転落B足場Cビル外壁補修工事において、足場上で外壁のシーリング工事を行っていた被災者が約25b墜落した(地震復旧)
 ▼その他建設業=@11月A崩壊・倒壊B建築物・構築物C家屋解体中の現場において、倒壊してきたブロック塀の下敷きになった(地震復旧)
 ▼建築業=@11月A墜落・転落B足場Cビル改修工事において、足場を組む作業を行っていた時に、誤って約19b墜落した(地震復旧)
 ▼その他の建築業=@10月A墜落・転落B足場C住宅塗装工事現場において、足場上で吹付作業中、雨で足場が濡れていたため、滑って約4b転落し、約1カ月後に死亡した(地震復旧)
 ▼建築業=@11月A墜落・転落B建築物・構築物C高床式倉庫の床を張る作業中に約1・8b下の地面に誤って墜落し、約1週間後に死亡した(地震復旧)
 ▼建築業=@11月A墜落・転落Bはしご等C木造建築工事において、脚立(高さ約1・1b)に乗って屋内の電気配線工事中、バランスを崩して転落した
 ▼その他の土木工事業=@12月Aはさまれ、巻き込まれB締固め用機械C新築マンション駐車場のアスファルト舗装工事中に、近くにいた被災者がタイヤローラーにひかれた
 ▼建築工事業=@12月A転倒B通路C民家の解体工事において、廃材をハンドガイド式の運搬車で運搬していた被災者が道路に倒れているのを発見された。

提供:西日本建設新聞社
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