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北海道建設新聞社
2018/03/12

【北海道】札幌らしい景観を追求 業界の垣根越え「考える会」が発足

 色彩、デザインの観点から札幌の魅力を高めようと「札幌の美しい景観を考える会」が8日、発足した。塗装会社、塗料メーカー、建設関連企業、旅行代理店、家具メーカー、行政など業界や官民の垣根を越えた組織で、会員は134人。札幌の景観色70色を切り口に、札幌らしい景観を追求していく。
 景観色は2004年に大規模建築の色彩ガイドラインとして札幌市が策定。札幌の春夏秋冬の光の中で美しく見える色を抽出したもので、「綿毛」「ミルク金時」といった独特のネーミングを持ち、一色ごとにストーリーが添えられている。
 公共建築物や橋梁をはじめ、日本生命札幌ビル、札幌大通西4ビルといった民間建築物にも取り入れられているほか、市内のクリエーターが色合わせゲームができるカードを製作したり、札幌軟石を使ったミニチュアの家に用いるなど裾野が広がっている。
 景観色が多方面で利用される中、個々の取り組みを充実させ、札幌の魅力づくりにつなげることを目標に会の発足に至った。
 8日の設立総会で、良好な景観形成に向けた公共物や大型構造物に対するイメージ提言、色彩計画・デザイン等のアドバイス、子ども向け出前授業などを段階的に進めていくことを確認。景観色の策定に携わった、静岡文化芸術大の宮内博実名誉教授が代表幹事に就いた。
 宮内氏は発足記念講演の中で、感性は育ってきた環境に大きく影響されることを示し「瞬間、瞬間で景観が変わっていく中で、札幌らしさがどの程度ベースにあるかが重要。考え方を引き継いでくれる人を育て、10年後、20年後のまちづくりにつなげるべき」などと説いた。
 既に観光都市に位置付けられている札幌だが、街並みを整え、魅力を高めることで、より多くの人を呼び込める可能性がある。また、道都としての取り組みは他地域への波及効果が大きい。
 発起人の一人で、事務局を務める伊藤塗工部の伊藤雅彦専務は、こうした可能性に期待した上で「より多くの市民、そして、インフラに関わることなので設計事務所やゼネコン、デベロッパーにも協力してもらい、取り組みの輪を広げていきたい」と話している。