横浜市水道局は川井浄水場4号配水池・遊水池の上部利用に関わるサウンディング型市場調査を2018年度に行う。水道施設の上部という制約の下、民間事業者のアイデアを得て有効活用したい考え。工期1年以内の2カ年工事を対象とした債務負担行為を18年度は限度額16億円とし、17年度の8億円から倍増させて発注の平準化を推進する。市立学校46校への「耐震給水栓」整備を18年度から本格化し、23年度までの6カ年で完了させる予定だ。3月5日の市会・予算第2特別委員会で山隈隆弘局長らが答弁した。
川井浄水場4号配水池・遊水池(旭区)の上部面積は約1万1500平方b。17年度にコンサルタント業務委託を通じて活用策を探ったものの▽地下に水道施設(配水池・遊水池)がある▽高速道路のインターチェンジは近いが周辺の道路は狭い―といった状況から方向性を見いだせなかった。
このため、需要喚起も兼ねたサウンディング型市場調査を実施して「民間事業者のアイデアを広く募る」(山隈局長)ことになった。4月早々にも手続きを始める見通しだ。
水道施設の上部利用は西谷浄水場3号配水池や仏向配水池(ともに保土ケ谷区)でスポーツ関係の暫定利用実績がある。また、17年度のコンサルタント業務では、旧中・南地域サービスセンター(中区、敷地面積889平方b)を「定期借地権付き分譲マンション」、人材開発センター(西区、1577平方b)や旧港南・栄地域サービスセンター(港南区、1837平方b)を「建物付き定期借地」に活用する提案などもなされたという。
【工期1年以内の2カ年工事、債務負担を16億円へ倍増】
工期1年以内の2カ年工事を対象とした債務負担行為は16年度に限度額6億円でスタートし、17年度も同8億円で配水本管敷設替え工事4件の後年度経費を確保した。いわゆる端境期対策として「横浜建設業協会からも4〜6月の稼働率改善に大いに寄与しているとの声をもらっている」(山隈局長)ため、18年度は16億円に倍増させて一層の発注の平準化に取り組む。対象工事の入札手続きを19年1〜2月ごろに進める予定でいる。
【18〜23年度で46校に「耐震給水栓」】
市立学校への耐震給水栓整備は、直結給水化で受水槽を使った応急給水が難しくなるために行う。屋外水飲み場を1カ所新設し、耐震化した周辺水道管路から飲料水を直接引き込む格好。16年度に原小学校(瀬谷区)、17年度に新吉田小学校(港北区)で実験的に整備した。
応急給水施設のない地域防災拠点で整備を進めており、「配水池から耐震給水栓まで全て水道管を耐震化するため、発災時にも地域住民は普段と同様に飲料水が得られる。水道局職員も駆け付ける必要がなくなり、他の業務に従事できる」(山隈局長)のがメリットだ。
18年度は総務局とともに合計400万円の経費を予算化し、周辺水道管路の耐震化が終わる▽末吉小学校(鶴見区)▽西寺尾第二小学校(神奈川区)▽戸部小学校(西区)▽南太田小学校(南区)▽鴨志田緑小学校(青葉区)―の5校で整備する予定。これらを含む整備対象46校は小学校41校、特別支援学校1校、中学校4校の内訳で、19年度以降も周辺水道管路を耐震化しながら順次工事を実施する。
提供:建通新聞社