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北海道建設新聞社
2018/03/07

【東京】都 工事規模・内容に応じて入契制度見直しへ

 東京都議会財政委員会が3月6日に開かれ、都の入札契約制度改革を巡って見直しを求める委員からの意見が相次いだ。都財務局の五十嵐律契約調整担当部長は、高落札率の案件の減少や入札参加者の増加など入契制度改革の効果を説明する一方、入札監視委員会での試行状況の検証と建設業界との意見交換で、予定価格事後公表による中小企業の入札参加意欲の減退や、1者入札の中止による事業遅延などを危惧する声が出ていることを受けて「現場の声を受け止めながら、より良い制度の構築に取り組みたい」「制度の取り扱いを検討する必要がある」などと答弁。工事規模や内容に応じて制度の見直しを行う考えを示した。
 財政委員会では、薄井浩一氏(公明党)や伊藤祥広氏(都議会自民党)が、現行制度の問題点や課題を指摘し、中小企業の声を反映して見直しを行うよう強く求めた。
 五十嵐部長は、予定価格の事後公表について「今議会に付議している請負契約15案件のうち落札率99%以上の案件は1件のみで、事後公表の効果だと考えられる」と説明。ただ、1月に入札監視委が実施した建設業界団体との意見交換で、事後公表の継続を求める声があった一方、「中小企業から積算事務負担の増大などにより、都の入札への参加意欲が減退し、事前公表に戻してほしいとの意見が寄せられた」と答弁。「現場の声を受け止めながら、より良い制度の構築に取り組みたい」と述べ、工事規模などに応じて事前公表に戻す可能性を示唆した。
 また、JV結成義務の撤廃に関しては「議案のうち混合入札を行った13件の入札参加希望者数の平均は8・0者で、16年度に財務局が契約したJV案件の平均希望者数3・3者を大きく上回った」ことが入契制度改革の効果だと説明。しかし、建設業団体から「大企業とのJVで大型工事に参加することは、単に受注機会を確保するだけではなく、中小企業の技術力研鑚(けんさん)や人材育成に寄与してきたとの意見が多くあった」と述べた上で、「安全で快適な都民生活を支える道路・河川の整備や公共施設の更新、地震や水害などの災害復旧には地元に密着した中小企業に頼るところが大きく、JVによる中小企業の人材育成という視点が重要と認識している」と現場の声を反映して制度を見直す意向を示した。
 さらに、1者入札の中止では、試行開始から1月末までの段階で、希望者が1者以下だったため手続きを取りやめた案件が58件に上っていると説明。当初は12月の議会での承認を予定していた2件の工事が、1者入札中止による契約手続きの遅れにより請負契約の付議が今議会になったことに触れ、「入札監視委員会の議論の中でも1者入札中止による都の事業進捗の遅れが懸念されている。今後、制度の取り扱いを検討する必要がある」との見方を示した。

提供:建通新聞社