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建通新聞社(東京)
2018/03/05

【東京】小池知事 入契制度見直しへ

 東京都の小池百合子知事は3月1日に開かれた都議会本会議で、都が試行している入札契約制度改革について、入札監視委員会との意見交換で出された業界団体からの意見を踏まえ、見直しの検討を進める意向を示した。予定価格事後公表と1者入札中止、JV結成義務撤廃の3点の見直しを強く求めた東村邦浩氏(公明党)に対し、「特に中小企業からの意見・提案にしっかりと耳を傾ける。入札の透明性・競争性に(公共工事の担い手となる)中小企業の人材育成の視点も加え、より良い制度構築に取り組む」と答弁。中小建設事業者が懸念する制度上の課題解決に前向きな姿勢を打ち出した。
 予定価格の事後公表について小池知事は、「事業者の積算努力を促し、積算を行わずに入札に参加する不良不適格業者の排除を目的に、昨年6月下旬に財務局案件で、10月末からは各局案件に対象を拡大して試行を始めた」と経緯を説明。その上で、「業界団体との意見交換では事後公表の継続を求める声があった一方、特に中小企業から積算の事務負担の増大や、それに伴う都の工事への入札参加意欲の減退を理由に、事後公表に戻すよう求める意見もあった」と述べ、「入札監視委員会での検証を進めるとともに、頂いた提案の内容をしっかりと受け止め、より良い制度の構築に取り組んでいく」と答えた。
 1者入札の中止については、「入札参加希望者が1者以下の場合、入札参加条件を見直して再入札を行うことで、より多くの参加者を確保し、入札の競争性や透明性を高めることが目的」と説明。中止となった案件は参加要件などを見直して速やかに再発注の手続きを進めているが「業界団体からは、1者であっても入札参加を希望した事業者の準備が無になるとの意見や、都の事業執行の遅れを懸念する声が多く寄せられた」と述べた。そして、意見交換に参加した全ての団体が制度の見直しを求めていることも踏まえ、「入札制度改革の実施方針では、特別な事情がある場合は1者入札を認めることも必要と位置付けている。現場の状況を踏まえて今後の取り扱いを検討していく」との意向を示した。
 JV結成義務に関しては、「入札参加の制約になっているのではないかとの問題意識から撤廃し、単体企業でもJVでも参加できる混合入札を導入した」と制度改革の背景を説明。「(これまでの試行で)入札参加者が増加する効果が見られた一方、業界団体からは、JVに参加することで中小企業の技術力研鑚(けんさん)につながってきたがその機会が減少したとの意見があった。(JV結成を)担い手育成のモデルとすべきとの提案もあった」と答弁した。今後、入札監視委員会による検証報告がまとまった後、改めて業界団体からヒアリングを行い、「入札参加者数の増加による競争性確保の観点に、中小企業の人材育成の視点も加え、より良い制度構築に向けた検討を行う」と強調した。

提供:建通新聞社