徳島市は、「新ホール整備事業」について、23日の市議会まちづくり対策特別委員会で基本構想(素案)を明らかにした。土地の取得に係る経費など不確定要素が多く、総事業費は示されなかったが、建設費として約87億円を提示した他、現状で地下1階地上4階建て延べ約9000平方bの規模を見込み、1500席の大ホールをはじめ、200席の小ホールなどを盛り込んだ施設案を示した。今後は6月の市議会で基本構想案、12月市議会で基本計画素案を示し、2018年度末の基本計画策定を目指していく。
当日市は、敷地面積の変更、概算工事費(建設費)、今後の整備スケジュールと計画策定のプロセスなどを説明。市によると、敷地面積は当初の約4866平方bから4851平方bに縮小。建設費約87億円の内訳は設計費が約4億円、工事費が約83億円で、地上部延べ床面積約7000平方bの工事費が約60億円(平方b当たり単価85万円)、地下部延べ床面積約1950平方bの工事費が約23・4億円(同120万円)とした。また、土地の取得を買収か定借にするかなどは、今後協議して決めるとした他、PFIなどを活用して整備し当面23年度の開館を目指すが、埋蔵文化財の試掘が必要なため、調査期間による影響の考慮も必要とした。
委員からは基本構想の策定が遅れ、3月定例会までに総事業費の提出が間に合わなかった点など、当初から懸念されていた不確定要素がほとんど取り除かれていない状況に厳しい意見が相次いだ。また、建設費については消費税が含まれておらず、また、施設本体のみで、JR関係施設の移転補償費や土地の取得経費など不確定要素を含めると、今後新町西地区再開発事業の新ホール並みに事業費が膨らむのではないかと懸念を示す委員もいた。
この他施設の計画案でリハーサル室が小ホールと兼用となる点など、全体的にかなりコンパクト化している点について、建設地が狭小すぎる点も改めて指摘し、現計画地での事業推進に難色を示す委員もいた。厳しい意見は多かったが、早期の開館を委員全員が期待しているだけに、現行計画での実現性を早く見極めたいとする点だけは一致していた。
市は18年度当初予算案に新ホール整備に係る調査検討経費として128万円を盛り込んでいるが、同委員会は慎重審査扱いとして採決を見送った。
提供:建通新聞社