岡山県は、県庁舎耐震化整備に向けた基本計画を策定した。2018〜19年度で基本・実施設計をまとめ、20年秋以降に着工する予定。18年度当初予算案には基本設計費など8695万円を計上。また、19年度分の設計費として限度額1億5410万円の債務負担を設定している。
県庁敷地内にある5棟のうち、1957年に建てられた本庁舎(鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上9階建て延べ1万9940平方b)と議会棟(鉄筋コンクリート造地下1階地上3階建て延べ4383平方b)は、震度6弱程度の揺れに耐えられない恐れがあり、老朽化も著しい状況。また、主要な電気・機械設備(東棟地下に設置)も豪雨時の浸水被害が想定されている。
基本計画によると、耐震改修として議会棟では耐震ブレースを壁の中に16カ所、本庁舎では制震ブレースを外壁内側に117カ所それぞれ設置し、外観を損なうことなく現在の意匠を維持する考え。落下防止対策として議会棟と本庁舎(1〜3階)で外壁ブロック、タイル、サッシ、本庁舎(4〜8階)で外装カーテンウォールの改修などを予定。長寿命化対策(老朽化対策)としては、構造躯体(柱・梁・床・壁など)のコンクリートの再アルカリ化や保護塗膜の塗布などで50年間の延命を図る。また、議会棟の内装材や照明器具の改修、本庁舎の屋上防水なども行う。
新エネルギーセンターを本庁舎と議会棟の間の荷受場上部に新築し、主要な設備機器を地上階へ移設することで、1b程度の浸水被害にも対応可能とする。新施設の規模は鉄骨鉄筋コンクリート造5階建て延べ約1750平方b。
この他、執務面積の拡充や課室配置の合理化、会議室や相談室の増設も図る。整備後は、6階全フロアに土木部を置き、1〜4階を占めていた警察の後には会議室や福利厚生施設、コンビニなどが入る。また、地下に食堂を新設する。
WTO(世界貿易機関)対象の一般競争入札として工事を発注する。入札は建築、電気設備、機械設備の3件。工程については、県庁南側で進められている警察本部庁舎が20年度に完成するのを待って、その後、まずは新エネルギーセンターを建設し、工事期間中の冷暖房施設などの機能を確保した後、1〜3工区に分けて本庁舎を、定例会や委員会の合間に随時議会棟の工事を進めていくスケジュールだ。全体工期は約3年間。工事中の引っ越しや仮移転場所は警察移転後の空き室や小橋町庁舎などを使用する。
総事業費は143億1900万円で、うち工事費は137億5600万円(消費税10%で試算)。県負担額のうち起債見込額は116億0800万円で、緊急防災・減災事業債55億2400万円(このうち70%は国の負担)も活用する。建て替えと比較すると、工事費は3割程度削減できる見通しだ。
基本計画は前川・宮ア建築設計事務所共同体(東京都新宿区本塩町)が策定した。
「提供:建通新聞社」