第3回長岡京市上下水道事業審議会が20日開催され、今後の水道事業環境などについて市が報告した。
今後の水道事業環境について、人口と水需要の見込みを踏まえ、有収水量は計画開始の2020年度は859万2000m3と見込み、2029年度の計画最終年度は約4・3%減少の822万m3と見込む。
管路の更新について、市の管路全延長は2016年度末で283qあり、管路の法定耐用年数40年を超過する、いわゆる経年化管路の延長は2020年の約10q頃から急激に単年度で増えると見込む。
2016年度末の経年化管路の割合は9・5%で、近年多額の投資を行い管路更新(更新率0・5%程度)しているが、このペースでの取り替えでは全ての管路更新に約200年かかり、また法定耐用年数の1・5倍(60年)を超えるような老朽化が今後発生し、漏水事故の増加が危惧されると分析。管路の更新は、老朽化及び重要度等により優先順位の高いものから、2016年3月策定の老朽化管路更新基本計画を見直しながら計画的に進めていく必要があるとした。
水道事業の職員については、2006年10月から窓口業務などの営業事務の民間委託で事務職が5人減少。また効率的な事業運営のための組織統合や浄水場の運転監理業務の委託化で技術職も含め減少している。今後は経験ある職員の退職を迎えることから、技術と知識の継承に努めていくことが必要とした。
水道事業の具体的な取り組みについて、主に団地規模で更新し、鉛製給水管の取り替えを促進してきたが、2016年度末で12・4%が残っている。鉛製給水管率は、現ビジョン目標値の6・0%(2019年度)から、中間目標値6・0%(2024年度)、計画目標値0・0%(2029年度)とした。
施設の耐震化は給水区域の統合事業として耐震化も兼ねた施設整備が概ね2016年度に完了。まだ耐震化されていない一部の配水池について、将来の施設稼働状況や法定耐用年数を考慮し、効率的な耐震化を進める。配水池の耐震化率は、2016年度実績値の98・6%、現ビジョン目標値の−(2019年度)、中間目標値98・6%(2024年度)、計画目標値100%(2029年度)とした。
基幹管路(300o以上の配水管や導・送水管の総延長5万0749m)の耐震適合化率47・7%は、2015年度末現在では全国平均値37・26%、京都府平均値31・10%を上回っている。基幹管路の耐震化は更新時期も考慮しながら、計画的に実施する。基幹管路の耐震適合は、2016年度実績値の47・9%、現ビジョン目標値の−(2019年度)、中間目標値52・0%(2024年度)、計画目標値55・0%(2029年度)とした。
市内唯一の浄水場の東第2浄水場は稼働から35年が経過している。浄水場施設の法定耐用年数は60年となっているが、一部の施設で耐震化工事が必要となる箇所がある。現東第2浄水場の既存施設の耐震化や新たな場所での築造など、浄水場施設のあり方を検討するとした。
口径150o以上の主要幹線管路(10万9152m)は今後、法定耐用年数を超える延長が急速に増加すると予想。基幹管路を含む主要幹線管路を中心に計画的に更新するとした。管路の更新率は2016年度実績値の0・50%、現ビジョン目標値の−(2019年度)、中間目標値0・70%(2024年度)、計画目標値1・00%(2029年度)とした。
経営基盤の強化では、投資計画及び財政計画を策定しバランスのとれた事業運営を行うとともに、料金体系の見直しを含む水道料金の適正化を図るとした。
廃止した水道施設用地は遊休地の売却や公共施設等への利活用など方向性を検討する。
広域化の検討では、京都府及び受水市町と業務や資材の共同化の検討を進めている。今後は受水市町間だけでなく、府下市町村全体の取り組みとして、課題解決に向けた連携を検討するとし、京都水道グランドデザインの広域化・広域連携の推進に基づき、南部圏域で隣接する京都市、向日市、大山崎町との連携を検討するとした。
このほか、再生エネルギーの検討、水道施設の維持更新のための本格的なアセットマネジメントの導入などに取り組む。
上下水道事業審の今後のスケジュールについては、第4回(5月)で下水道事業の現状と課題、第5回(8月)で下水道事業施設整備検証、第6回(11月)で下水道ビジョン及び下水道使用料のあり方、第7回(来年2月)で水道ビジョン及び水道料金のあり方、第8回(来年5月)で上下水道事業ビジョン及び上下水道料金の見直しを行う。その後、パブリックコメントを経て、第9回(来年7月)で答申案をまとめる予定。