神奈川県企業庁は、相模ダムリニューアル事業の実施に向け、2018年度に整備計画を策定するとともに、概略設計に着手する考え。整備計画は工事が完了する38年度までを期間とし、ダムを運用しながらリニューアルを実施するため、年度ごとの取り組み内容を示す方向。また、これまでの基礎的調査の結果を踏まえた概略設計では、放流関連施設(ゲート、ピア)の形状などを確定させる方針だ。18年度予算案には地質調査費などを含め、1億4738万円を計上している。
相模ダム(相模原市)は1947年に完成した神奈川県で最初の大規模な人造湖。その貯水を利用し、相模発電所で水力発電を行うとともに、発電所を経由して下流の沼本ダムから水道用水などを安定的に供給し、相模川の水を多目的に利用している。複数の目的を持った国内最初のダム。
完成から70年近くが経過し、全体的に施設が老朽化しているため、その対策を講じることになった。相模ダムクラスのダムで大規模なリニューアルを行うのは全国でも例がないという。
企業庁ではリニューアルや、長期的な維持管理などに備え、2014年度からさまざまな調査・検討業務を委託してきた。17年度は、諸設備改良検討業務を八千代エンジニヤリング(東京都台東区)に、長寿命化計画(土木総合点検)策定業務を建設環境研究所(東京都豊島区)に委託するなどしている。
18年度に行う概略設計のうち、ダム本体を対象とするものでは、ゲートやピアの形状や安定性などを検討する。当初予算案には3322万円を計上。一方、減勢工や護岸といったダム下流施設の概略設計は、水理模型実験や、配置計画の検討などが内容となる。予算額は4445万円。
また、地質調査などに18年度は6971万円を投じる考えだ。
今後のスケジュールは、18〜20年度に概略設計、21〜23年度に詳細設計を行う。工事には24年度からの15年間を充てる予定。
相模ダムの諸元は、▽形式=重力式コンクリートダム▽堤高=58・4b▽堤頂長=196b▽湛水面積=3・26平方`▽総貯水容量=6320万立方b▽有効貯水容量=発電4320万立方b、水道4820万立方b▽利用水深=発電19b、水道22b▽常時満水位=標高167b。
提供:建通新聞社