県港湾空港課は20日、推進中の能代港第2灰捨護岸建設で、全国で初となる5層一体型の底面遮水工をWTO案件として公告した。税抜き予定価格は103億2,940万円で、一般土木5者による特定建設工事JVに発注する。JV代表者には30,000u以上の3層一体型遮水シートの元請け施工実績が必要で、大手企業となる見通し。代表者以外の構成員は地元企業が参加できる。4月23日に開札して同月末に仮契約を締結、6月議会での承認を経て7月末に契約する予定。
事業は能代火力発電所から発生する石炭灰の埋め立て処分において、既存の第1処分場が平成32年度で満杯となるため、同処分場隣接に第2灰捨場を建設するもので、33年度からの使用開始を目指している。増設する処分場は埋め立て面積約24ha、処分面積約20ha、処分容量約2,430,000㎥の規模で、これまでの整備では護岸工や鉛直遮水壁工などを進めている。
一般廃棄物最終処分場には遮断型、安定型、管理型の各種類があり、整備中の処分場は遮水性を確保しながら有害物質が海へ漏れないようにするため、浸出液処理施設や2重の遮水層の設置が必要な管理型を採用している。
発注する遮水工は、2層の遮水シートと3層の保護層からなる5層一体型のもので、海底面に5層一体型を施工するのは全国で初。もともと太平洋側に多い海上処分場だが、太平洋側は粘土層のため、遮水シートを施工する必要性が低いのだという。
発注工事の施工延長は719.6mで、188,857uの下地処理工、206,100uの遮水シート敷設工、929㎥のアスファルトマスチック工、329㎥の遮水壁中詰アスファルトマスチック工を33年3月1日の予定工期(後片付け含む)で施工する。予定価格は税抜き103億2,940万円で、予定価格に対する予算上の年割額は30年度が35億円、31年度が40億円、32年度が36億5,575万2,000円。
5者構成のJV代表者には海面処分場の新設工事で、面積30,000u以上の3層一体型遮水シートの元請け施工実績、代表者以外の構成員には船舶を使用した海上土木工事(浚渫除く)の元請け施工実績などが必要。4月23日に開札し、6月議会での契約承認を経て7月末頃に正式契約する。
事業では現在、護岸工4件(29−Z102K1〜K4)が公告されており、今後は腹付雑石工1件が早ければ来週中にも公告される。31年度の事業費は、おおむね今回発注する遮水シートに充てる予定。
また、今年度は海水を中和させる余水処理施設の概略設計業務をパシフィックコンサルタンツに委託しており、32年度の着工・完成を目指したい考え。
提供:秋田建設工業新聞社