首都圏外郭放水路(埼玉県春日部市)を民間開放により観光資源として活用するため、国土交通省江戸川河川事務所と関係自治体などで構成する利活用協議会が、2月15日に発足した。今後、庄和排水機場敷地について、春日部市が都市・地域再生等利用区域(特区)の指定に向けた要望書を関東地方整備局に提出。3月に関東地整が同特区の指定を行う見込み。2018年度に民間開放による外郭放水路の施設見学会を実施するための基礎データ収集を目的に、社会実験を実施する計画だ。
第1回の協議会では、民間開放に向けた今後の取り組みとして、地元のイベントや道の駅と連携する仕組みづくり、情報発信の手法検討、バスなどの公共交通機関の確保などの必要性が指摘された。春日部市では、観光資源として有効活用するため、18年度に審議会を立ち上げ、観光ルートの構築や2次交通機関の計画を策定していく考えを示した。
首都圏外郭放水路は、国が地下約50bに建設した、直径10b、延長6・3`の放水路。水の勢いを調節するための調圧水槽は「地下神殿」と呼ばれ、見学会には年間約1万8000人が訪れ、そのうち外国人観光客が1割近くを占める。調圧水槽がある庄和排水機場(龍Q館)には年間約3万5000人が来訪する。
江戸川河川事務所は、昨年9月に有識者などで構成する懇談会を発足し、放水路の利活用について検討。同懇談会がまとめた提言では▽利活用の促進に向けた大胆な民間開放▽治水インフラ施設の役割を知ってもらうためのツアーの充実▽地域観光の核として周遊性のあるツアーの検討▽インバウンドを含めた観光客受け入れ―などを盛り込んでいた。
国は観光立国に向けた取り組みとして、魅力ある公的施設・インフラの公開・開放を主要施策に位置付けている。
提供:建通新聞社