東京都と新宿区は「新宿の拠点再整備方針―新宿グランドターミナルの一体的な再編」の案をまとめた。JR線や小田急線、京王線、都営地下鉄、東京メトロ、西武線などが乗り入れる世界最大規模のターミナルである新宿駅を「新宿グランドターミナル」として一体的に再編する計画。駅ビルの建て替えを契機に、駅や駅前広場、駅ビルなどを一体的に再編整備する。併せて、歩行者ネットワークとして東西のまちをつなぐ線路上空デッキの新設や歩行者優先の駅前広場への再編などを実施する。都民意見の反映手続きなどを経て今春に再整備方針を策定した後、都市計画手続きを進め、国や鉄道事業者などと連携して2020年度から事業に着手する。
新宿グランドターミナルの整備は「交流軸の構築」「連係空間の創出」「持続的な発展への挑戦」の三つの視点に沿って進める。更新期を迎えた駅ビルの建て替えを契機に、敷地を整えながら駅、駅前広場、駅ビルなどを一体的に再編する。
交流軸の構築では、東西のまちをつなぐデッキを線路上空に新設するとともに、JR線と小田急線の改札を新たに配置。4号街路(地上・地下)や新宿通り、中央通りの道路空間を再編し、歩行者空間を拡大する。西武新宿線とJR・丸ノ内線との乗り換え経路や、バスタ新宿と小田急・京王・都営各線との乗り換え経路を拡充する他、ユニバーサルデザインで段差のない、多言語に対応したターミナルを整備する。
東西駅前広場の車両系機能を再配置して歩行者空間を広げ、駅前広場に接続する道路も歩行者優先の空間に再編する。グランドターミナルへの車両の流入を抑制するため、駅前広場の駐車場出入り口を移設し、共同荷さばき場を確保する。
連携空間の創出として、JR線路上空にグランドターミナルの核となる広場空間を創出し、デッキから地下までを結ぶ「新宿テラス」を整備する。また、新宿を訪れる人が新たな商品やサービスに触れることができるショールーム空間や意弁祖スペースを創出する。新宿中央公園と新宿御苑(ぎょえん)を結び付ける緑の塊をグランドターミナルの各所に重層的に配置する。
持続可能な発展に向け、西口立体広場の吹き抜け空間を継承・発展させる他、電線共同溝の設置による無電柱化など都市景観の向上につながる取り組みを新宿のまち全体に広げる。街区・地区単位で融通するエネルギーや自立分散型電源の設置と、その面的利用により、効率的なエネルギー供給と事業継続性の高い地区を形成する。
提供:建通新聞社