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建通新聞社(東京)
2018/02/13

【東京】都 無電柱化計画素案まとめ

 東京都建設局は「東京都無電柱化計画」の素案をまとめた。都が今後10年間で展開する事業の基本方針や目標を示すもので、重点的に整備する区域を「環状七号線の内側」に拡大するとともに、重点的に整備する路線に「区市町村庁舎や災害拠点病院等を結ぶ都道」を加え、環状7号線内側エリアの対象路線の全線で事業に着手する方針を打ち出した。都市再生特別地区の活用や都市開発諸制度の改定などによって民間事業者によるまちづくりでも無電柱化を促進する。最大の課題と捉える整備コストについては、技術開発を促して材料を見直すことなどによって「3分の1カット」を目指す。都民意見の反映手続きなどを経て年度内に行政計画として策定する。
 同計画では、無電柱化推進に当たっての基本的な考えとして、都道での整備方式を「電線共同溝方式」と位置付ける。優先的に整備する道路として「計画幅員で完成している歩道幅員2・5b以上の現道」「新設・拡幅する都市計画道路」「歩道設置や交差点すいすい事業など拡幅を行う都道」「土地区画整理事業・市街地再開発事業などで整備する都道」を挙げた。
 重点的に整備するエリアは、これまで事業を進めてきたセンター・コア・エリア内(山手通りと荒川に囲まれた区域)から「環状七号線の内側エリア」にまで拡大。重点整備路線には、これまで事業を進めてきた第1次緊急輸送道路に「区市町村の庁舎や災害拠点病院など災害時や災害復旧の拠点となる施設を結ぶ路線」を加える。今後10年以内に環状7号線内側エリアの整備対象箇所全ての路線で無電柱化事業に着手する。
 併せて幅員の狭い道路での整備手法を確立する他、山間部や島しょ部での整備手法を確立してモデル路線での事業に着手する。
 区市町村と連携した面的な無電柱化を促進するため、財政的・技術的な支援を継続する。歩道幅員が狭く地上機器の設置が難しい路線などでの無電柱化を実現するため、2017年度に創設した「無電柱化チャレンジ支援事業」のモデル事業を拡大し、これまで困難だと考えられていた地区での実施事例を増やすことで、無電柱化に対する地元機運を高める。
 また、都市再生特区制度を活用したまちづくりで無電柱化を促すとともに、都市開発諸制度を改正して「開発区域外の道路の無電柱化を行う場合の容積率を割り増す」ことで民間事業者の事業意欲を高める。土地区画整理事業で整備する区画道路の無電柱化についても助成対象に加える。
 無電柱化推進の最大の課題と捉えるコストについては、「管路を浅く埋めることによる土工の減少」「新たな管路材量の採用による材料費削減・施工性向上」「特殊部の小型化による支障移設の回避」といった低コスト手法の検討を進めるとともに、事業者間の競争や、多様な整備手法・低コスト手法のさらなるイノベーションを促す。

提供:建通新聞社