神奈川県県土整備局の2018年度予算案によると、公共事業費(441億8304万円)、県単独土木事業費(306億6358万円)とも前年度並みを確保していることが分かった。工事着手箇所としては、津久井合同庁舎新築や、万騎ケ原団地(建て替え3期)などを挙げている。また、「12カ月未満の工事に係る債務負担行為の設定」を前年度の約2倍に当たる約22億円とし、施工時期の平準化に向けて積極的に取り組むことになった。
公共事業費の内訳は、一般会計393億0938万円、流域下水道事業会計48億7366万円。流域下水道が4・1%減となるものの、一般会計が1・1%増のため、総額では0・5%増と、前年度並みを確保。県単独土木事業費は一般会計が2%増の305億0965万円、流域下水道事業会計が増減なしの1億5392万円。
12カ月未満の工事に係る債務負担行為の設定は、前年度予算に初めて計上されたもので、施工時期の平準化が目的。18年度の22億0050万円は、前年度の10億1000万円を倍増させた格好となる。対象の工事箇所数は17カ所(前年度10カ所)を見込んでいる。出水期を避けて年度後半に発注する河川改修などが中心となりそうだ。
○津久井合庁 建築は9月議会案件
個別の事業のうち、津久井合同庁舎(相模原市緑区)は、現庁舎敷地の北側駐車場スペースと隣接地(県有地)を利用して建設する計画。規模は鉄筋コンクリート造4階建て延べ2996平方b。試掘調査の結果、平安時代と縄文時代の遺構・遺物が確認されため、埋蔵文化財調査が行われている。調査結果を踏まえて今後のスケジュールを決めることになるが、現時点では、9月県議会での承認を目指して建築工事を発注する方針だ。
県営住宅の整備では、万騎ケ原団地(横浜市旭区)の建て替え事業3期を実施する。2棟94戸の計画で、解体工事や建設工事などを予定。事業期間は20年度まで。設計は日生建築計画研究所(横浜市中区)が担当している。
主要事業では、災害に強いまちづくりを目指して、地震・津波対策を進める。海岸・港湾施設や、避難場所となる都市公園、緊急輸送路とする道路・橋梁などの整備が主な内容。また、大規模災害からの復旧・復興に役立てるため、地籍調査を実施。津波による浸水被害が想定される相模湾沿岸の都市部を「緊急重点地域」に位置付け、集中的に調査していく。これらの事業に423億2497万円を充てる。
○ゲリラ豪雨対策など134億
ゲリラ豪雨や台風など自然災害に対する未然防止対策としては、都市河川重点整備計画(新セイフティリバー)や、土砂災害防止施設の整備を着実に進展させる。予算額は134億9923万円。このうち、浸水被害に対しては、63億5142万円を投じ、引地川の下土棚遊水地(藤沢市)など行う。崖崩れ対策の予算額は71億4781万円で、粟田二丁目F地区(横須賀市)での急傾斜地崩壊対策、新崎川(湯河原町)での砂防堰堤2基の整備などを行う予定。
緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化促進には1億2732万円を計上。第1次緊急輸送道路(約1500`)が対象で、耐震診断や耐震改修を補助する。
17年度に着手した国道134号道の駅(サザン茅ケ崎)については、造成工事(市発注)に着手する他、用地買収を進める。全体の事業規模は約1・7f。事業期間は19年度まで。
東京オリンピック・セーリング競技開催に向けては、艇整備庫などを備えたセーリングセンターの新築工事費として5億5000万円を計上している。基本・実施設計はセントラルコンサルタント(東京都中央区)が担当。湘南港浮桟橋などの補修には3億5600万円、湘南港のトイレ改修設計などには4670万円を充てる考えだ。港湾関係ではこの他、真鶴など4港の港湾修築費として1億4857万円を盛った。
また、流域下水道事業では相模川流域下水道について、左右両岸の処理場における汚水処理施設整備(調査設計、工事)を進める。予算額は36億7869万円。酒匂川流域下水道事業については、左右両岸の処理場の汚水処理施設と、箱根小田原幹線を整備していく。12億2140万円を充てる。
提供:建通新聞社