東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて競技施設の建設が着々と進んでいる。東京都は2月6日、国内外の報道機関を対象に、都が新設する施設のうち「オリンピックアクアティクスセンター」など臨海部の4施設の現場見学会を開いた。基礎工事を行っているか、終えた段階の現場が目立ったが、水泳会場になるアクアティクスセンターでは巨大な屋根を支える4本の支柱がそびえ立ち、徐々にその姿を見せ始めていた。
内外31社のメディアが参加した。2台の大型バスに分乗し、ボート・カヌー(スプリント)のレースが行われる「海の森水上競技場」▽バレーボールと車いすバスケットボールの会場になる「有明アリーナ」▽「オリンピックアクアティクスセンター」▽「カヌー・スラローム会場」―の4現場を回った。
アクアティクスセンターでは高さ40bの4本の支柱が立ち上がり、1万5000人の観客を収容する大型施設の姿を現し始めていた。支柱に囲まれた地上部では屋根となる鉄骨トラスの地組が進んでおり、夏にはリフトアップする。この現場では現在230人が働いているが、今後、ピーク時には1000人になるという。
オリンピックの施設建設で特に印象的だったのは現場のセキュリティ対策の厳しさだ。国際的に注目を集めるプロジェクトだけに、施工各社は現場の入場者のチェックなどに万全を期している。ある施設では、作業員の本人確認で、顔認証などのシステムを導入しているという。「手荷物検査がある可能性があるので大きな荷物は持たないように」と都の職員が記者に呼び掛ける現場もあった。
また、国内でこれまで建設した事例のない施設もある。カヌー・スラローム会場がそうだ。都の担当者は「国際競技団体はもちろん、模型実験などで海外の大学の協力を得て事業を進めている」と説明してくれた。
[道路整備は必須]
施設建設とは直接関係ないが、今回の見学会で気になったのは施設周辺の交通渋滞だ。東京港に近いだけにたくさんの大型コンテナ車が通行する。午後1〜5時の見学会も予定時間を30分以上オーバーした。このままの状態でオリンピックを開催すれば道路は確実に機能不全に陥る。
道路交通対策の要は、建設中の臨港道路南北線と環状2号線の大会開催時までの完成だ。築地市場を通過する環状2号線は市場移転の遅れで暫定整備となるが、確実にルートとして機能させる必要がある。
提供:建通新聞社