活発な意見交換の続き。上野氏はグリーンインフラに地域力向上を絡め「自然の使い方はハード・ソフトいろいろで、昨今ではSNS発信も加え使い方がますます重要」と率直に。また出水氏の考え方に感銘を受け「私たち(大学人)は他からベスト・プラクティス(最も効率よい技法)を探して提示するが、建築廃材などを再活用し新たに生みだしデザインしてみせ、点から線、面にまで進める」手法に可能性をみた。
その出水氏は、廃材を利用し「すべてのものは素材であり、ものに価値をつくるという発想を変え、アイデアや『つくる』行為にお金の価値を置く」と指摘。建築のハードルを下げる目的から職人さんや作家さんのDIYのワークショップを定期的に開催している。
中村氏は経済成長に絡め、河川の合流点は自然豊かで潜在力は高いと指摘し「事業化へは難しいが面白いとも言え、個々のつながりが強い福井からザ・グリーンインフラのモデルをぜひ」と希望。松井氏は観光促進に触れ「外国人が求めるものは派手なものではなく緩やかな時間の流れなど田舎に当たり前にあるもの」と指摘した。
■上野氏 グリーンインフラ(GI)導入の社会的背景=人口減少、地方疲弊、インフラの老朽化、厳しい財政、自然災害の頻発 社会資本整備や防災、国土管理の在り方の転換期 → 自然が持つ多様な機能を活用 GIの課題=地域づくりに絡めて=人の暮らしを守り、豊かな自然を次世代に伝えるため、多機能性に配慮した計画・整備・維持管理、機能評価や施工技術の開発、まちづくりや地域づくりとの協働、経済的視点、地目や部局横断(河川、道路、都市、下水、環境、観光、教育など)、ハードとソフトの連携(政策、経営的視点と使用者視点) → これらの基盤となる「生態系の保全・活用・再生」(使うこと、必要とされることで守られる自然)
■中村氏 グリーンインフラとは?自然が持つ多様な機能を賢く利用して、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラや土地利用計画(グリーンインフラ研究会素案引用)東日本大震災をきっかけに防災減災技術として注目集める まとめ=GIは今後のインフラ整備の方向性を示す重要な概念、河川においては既にGI的整備が行われ、GI観点からの施策の再編集が必要、GIの実装には費用便益分析の研究・検討が重要、GIの進展にはICT技術や人工知能、生命科学の新技術が有効