文化庁が移転する京都市上京区の京都府警察本部本館について、京都府は耐震改修等や増築に向けた基本計画をとりまとめた上で、30年度は基本・実施設計に着手する考え。
京都府は京都市などの協力を得て、移転の規模に応じ、府警本部本館の耐震化を含めた改修と増築を行う。建物の歴史的、建築的価値を踏まえ「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」の適用も視野に検討を行う。
整備後、文化庁は本庁の庁舎として京都府の条例等に基づいた適切な貸付価格で長期的に貸付を受ける。遅くとも33年度中(2021年度中)の移転を目指す。
文部科学省設置法の改正法案等の法令整備を経て、30年度中に文化庁の組織体制を整備する。京都の本庁に5課(新設含む)が移転する予定。京都の本庁には文化庁長官及び次長を置く。職員数は全体の7割を前提に、京都府、京都市をはじめとする地元の協力も得ながら、250人程度以上と見込む。
京都府は30年度当初予算案に文化庁移転準備費1億1300万円を新規計上した。設計費に約7800万円、埋蔵文化財調査費に約3000万円を充てるほか、文化庁移転の情報発信を府市協調で行うシンポジウムの費用に充てる。
京都府のこれまでの主な取組をまとめると、28年度に府警本部本館耐震診断調査を山口正人建築設計事務所(京都市下京区)で実施。29年5月に明らかにした耐震診断調査の結果によると、各階のIs値は、地下1階のXが0・52、Yが0・68、1階のXが0・72、Yが0・57、2階のXが0・77、Yが0・76、3階のXが1・24、Yが1・10。
府警本部本館整備基本計画策定業務を29年10月に入札で吉村建築事務所(京都市左京区)に委託し、30年3月15日までの工期で進めている。業務内容は@施設コンセプトの明確化、施設規模の算定A敷地条件の整理B整備手法の検討(事業スケジュール、概算事業費の算出)等。@では国家機関の建築物及びその附帯施設に求められる機能や特色、現状の課題や今後の展開等を整理するとともに、府警本部本館の歴史的、建築的価値の抽出を行った上で、外壁等の保存計画、増築計画等を検討し、施設整備の基本的な考え方をとりまとめ。それに基づき各室及び施設全体に必要となる機能、設備、面積等を提案する。
府警本部本館(京都市上京区下立売通新町西入藪ノ内町85−3・85−4合地)の規模はRC造地下1階地上3階建、延4280・84u(1927年3月築)。敷地の用途地域は商業地域(建ぺい率60%、容積率250%)。高度地区は31m高度地区で、府庁地区官庁街地区計画により高さ制限は25m。
なお府警本部本館の機能は32年(2020年)3月に完成、33年度(2021年度)供用開始予定の府警本部新庁舎に移転する。