徳島市の「地域振興施設・国府道の駅整備事業」の進め方を検討する外部有識者会議(委員長・山中英生徳島大学副理事)は1月26日、第2回会合を開き、遠藤彰良市長に報告する今後の施設の進め方(目指すべき方向性)について議論した。事務局(市)からは現行計画も含めた整備案6案が示されたが、結論は出せず、次回検討会へ持ち越す形となった。年度内に予定していた市長への報告は2018年度にずれ込む可能性も出てきた。
当日の会合は、時間の大半を施設の在り方やソフト面についての議論に費やし、市の整備案は終了近くになって議論したため、結論に至る時間が足りなかった感は否めない。事実、前半では「道の駅を目的地化し、滞在型施設として整備すべき」など、市が再検証の理由に掲げる「母体となる徳島南環状道路の開通の見通しが立たず、十分な交通量の確保が困難なことから、採算の見通しが立たない」「負担する指定管理料が市の財政を圧迫する懸念」とする課題を解消する方向で中身の議論をしていた。一方で市の6案はいずれも整備スケジュールに抵触した案で、議論がかみ合わなくなってしまった格好だ。
整備案6案は@現計画通りA段階的整備(本館を整備後、飲食施設を整備する)B整備時期を検討(確定してから用地買収)C規模を縮小し整備(基本設計から見直し)D機能を整理し整備(基本計画から見直し)E整備時期も含めて検討(白紙に戻し当面放置)。案@については検討会の性格上、意見は出ず、案Eについても議論されなかった。案Aについては「用地を段階的に取得する点で地権者に理解が得られない」と除外され、案BCDを中心に議論されたが、結論には至らなかった。
整備案についての委員の主な意見は「ソフト(運営内容)をどのタイミングで決定するのか」「まずは民間の運営先を決め、意見を求めてから施設内容を固めるべき」「われわれの権限でどこまで事業をさかのぼれるのか。基本計画の見直しは判断できない」などさまざま。最終的に山中委員長が「中途半端な意見で終始した。安易に決められないのでもう少し時間がほしい」とし、市がこれを了承したため、次回検討会以降に持ち越しとなった。
次回では案BCDでの議論検討が中心となる見通しだが、案@については、収益が確保できないとする一方で、もともと市の試算では管理運営上黒字がわずかながら確保できるとする説明があった点、また、案Aの段階的整備も用地取得の課題がクリアできれば実現性がある他、案Eについても採算性重視でPFIやPPP手法による事業検討になれば、可能性として考えられるだけに、全てが除外できない状況にある。なお、あくまで検討会の意見は参考で、最終的に市が方向性を決定する。
各整備案では、整備期間について、案@ABは4年程度、案Cは5年程度、案EFは7〜8年程度としているが、事業が中断している現況ではいずれも整備時期が確定してからの試算。委員の中には「私が事業主なら堅実でリスクの少ない施設を段階的にでも早い計画を立ててすぐやる。今の状態が最も避けるべき状況」という意見もあった。同事業の基本計画策定は14年度。16年度には事業を見直し、当初見込んでいた事業費約26億円から約19・3億円に縮小した他、本年度も再検証の必要性から建物実施設計と造成設計、用地取得を中断させている。できるだけ早い段階での方針決定が望まれる。
提供:建通新聞社