横浜市が1月30日に発表した2018年度当初予算案によると、施設等整備費は全会計で総額3997億0800万円。新市庁舎や横浜環状北西線の整備の本格化などを受けて、前年度比11・9%の増となった。建築関係では新斎場の基本計画や新ごみ焼却工場の基本構想、劇場整備に向けた検討調査のための経費を盛り込んだ。小・中学校の建て替えで初弾3校の基本設計に着手する他、次期対象校を3校程度選んで基本構想の検討に乗り出す。土木関係では相模鉄道本線・鶴ケ峰駅周辺連続立体交差事業の環境影響評価手続きや高速鉄道3号線延伸の事業化判断に向けた検討、旧俣野小学校を利用した遊水地整備の基本諸元検討などを進める。末吉橋の架け替えで今秋に仮橋の製作や準備工事を始める。
18〜21年度を期間とする新たな中期計画の「初年度の歩みを確実に踏み出すための予算案」(林文子市長)と位置付けた。施設等整備費は▽一般会計=2473億6600万円(29・9%増)▽特別会計=226億5300万円(40・4%減)▽公営企業会計1296億9000万円(0・6%増)―の内訳で、新市庁舎や北西線などの事業費を計上する一般会計の伸びが著しい。
一方、特別会計の大幅な落ち込みは山下ふ頭再開発の移転補償の遅れ(70億円減)や日野こもれび納骨堂の17年度内完成(14億円減)などが理由。ただ、山下ふ頭再開発では17年度予算の繰り越し措置によって、実質的に前年度並みの事業費を確保することにしている。
【新斎場基本計画、新焼却工場基本構想、劇場調査に経費】
主なハード事業を個々に見ると、新斎場は2000万円をかけて基本計画の策定作業を進める。鶴見区スポーツ広場(鶴見区)に火葬炉16炉などを整備する予定でおり、19〜24年度の設計や工事などを経て、25年度の供用を目指す。新ごみ焼却工場の基本構想には1億円を充て、今後のごみ処理量から施設の規模や機能を探る。都筑工場(都筑区、17年度内に長寿命化対策完了)が今後10年程度で全面更新期を迎える状況を踏まえながら、19年度以降に整備場所などを検討していく。劇場整備の検討調査経費は1000万円で、国内外施設の調査や専門家へのヒアリングを実施して、19年度以降の整備内容・手法などの検討に役立てる。
【学校建て替え、初弾3校を設計 次期3校程度も選定】
小・中学校の建て替えでは1億8400万円を確保。初弾の建て替え校となった▽上菅田小(保土ケ谷区)▽汐見台小(磯子区)▽都岡小(旭区)―の3校で基本設計を行い、19年度の実施設計、20年度の工事着手につなげる。また14校の耐力度調査を実施し、18年度の早い時期に3校程度の次期建て替え校を選んで基本構想の検討に入る。日吉台小第二方面校(港北区)や市場小けやき分校(鶴見区)の整備などを含む小・中学校の新築・増築工事には60億7500万円を投じる。
【鶴ケ峰駅付近連立でアセス 旧俣野小の遊水地整備へ諸元検討】
相鉄本線・鶴ケ峰駅周辺の連立事業(旭区、地下式約2・7`)は1億5982万円を計上し、国の着工準備採択を得て環境影響評価の手続きなどを進める。概算事業費約740億円で、23〜33年度の工事を想定している。高速鉄道3号線延伸(横浜市青葉区〜川崎市麻生区、想定延長約6・5`)は1億円で17年度の路線計画などに引き続き検討を進め、18年度末までに事業化を判断するための材料を用意する。
旧俣野小学校(戸塚区、敷地面積約1・1f)を利用した遊水地の基本諸元検討は350万円の経費で実施。同校が境川水系河川整備計画(15年4月)で洪水調節施設の整備を定めた宇田川沿いにあることから、後利用を具体化する中で遊水地整備も位置付けるためのデータにする。
【末吉橋架け替え、今秋から仮橋製作と準備工】
末吉橋(横浜市鶴見区〜川崎市幸区)は神奈川県道鶴見溝ノ口の鶴見川渡河部に架かる橋長約108b、幅員約13bの鋼5径間連続鈑桁橋。現橋とほぼ同じ橋長で、幅員を18bへと広げた3径間連続プレビーム合成桁橋に架け替える。下流側に仮橋を設け、現橋を撤去して新しい橋を架設する方針で、10年程度の工事期間を想定している。
緊急輸送路などの整備経費(30億1100万円)の中で工事費を確保。今秋から仮橋を製作するとともに、架け替えに伴う河積確保のため準備工事として浚渫を実施する。
これら以外にも▽横浜美術館大規模改修基本設計=7000万円▽横浜みなとみらいホール大規模改修基本設計=5000万円▽鶴見工場長寿命化対策=2億4600万円▽公園の公民連携基本方針策定=1000万円▽舞岡地区新墓園造成工事等=7億2000万円▽新教育センター検討=500万円▽本牧市民プール再整備PFIのアドバイザリー業務等=5700万円▽グリーンライン6両編成化設計=5200万円―などがある。
提供:建通新聞社