京都市交通バリアフリー推進会議(議長・小谷通泰神戸大学大学院海事科学研究科教授)が26日開かれ、鉄道事業者がバリアフリー化の進捗状況を報告した。
西日本旅客鉄道梶iJR西日本)は、2017年3月に策定した西大路地区バリアフリー化基本構想に基づき、西大路駅のバリアフリー化の概要等を詳細に検討するため詳細設計等を進めている。2020年度末までの事業完了を目指す。
1日平均利用者数1万人以上の駅のホーム上の安全対策として進める内方線付き点状ブロックの整備について、西大路駅、嵯峨嵐山駅、円町駅、丹波口駅の4駅で2018年度に整備を完了させた。
このほか、桃山駅は2020年度までの事業完了を目指す。
近畿日本鉄道鰍ヘ、2016年度末に向島駅の内方線付き点状ブロックの整備を完了し、市内の利用者数1万人以上/日の全駅で内方線ブロックの整備を完了。あわせて自社事業として実施した線路工事により、車両とホームの隙間を解消した。
伊勢田駅、寺田駅の段差解消は2020年度までの完了を目指す。
京阪電気鉄道鰍ヘ、鉄道事業者独自の取組として、伏見稲荷駅で上下ホームトイレの段差解消や個室のリニューアル化、音声案内の整備等のバリアフリー化を含めた駅のリニューアル工事を2017年12月までに完了させた。
阪急電鉄鰍ヘ、2014年3月に策定した西院地区バリアフリー化基本構想に基づき、阪急・京福西院駅のバリアフリー化と乗継利便性向上のための整備を実施。これまでに東側に改札を設けるなどした。西側駅舎は分割して解体するなど整備し、2018年度末までに仮改札を供用開始、2019年度には駅舎建替えを完了させる予定。
鉄道事業者独自事業では、ホームからの転落防止対策の一環として、ホームの縁端部視認性を向上させる「ホーム縁端ライン」を順次設置しており、京都市内では2018年度、嵐山駅で設置した。嵐山駅では車両とホームの段差を解消するため、臨時ホームの嵩上げもあわせて実施した。
京福電気鉄道鰍ヘ、常盤駅でバリアフリー化等として、ホームの嵩上げ(車両のホームの段差解消)、スロープの新設及び2段手すりの新設、内方線付き点状ブロックの新設を進めている。
叡山電鉄鰍ヘ、ホームの補強・補修に合わせてスロープの設置等によるバリアフリー化を順次実施中。修学院駅で2016年度・2017年度の2ヵ年にわたり内方線付き点状ブロックの新設、ホームの嵩上げ等を実施。
出町柳駅は約2ヵ月の工程を経て、2017年3月にトイレリニューアル工事を完成させ使用を開始。2017年7月にホームへの転落を防止するため、固定柵と内方線・点状ブロックを設置した。
京都市交通局は、2017年度に優先座席エリアのリニューアルを実施。
車内の案内表示器及び車外の行先表示器について、4ヵ国語(日・英・中・韓)表示が可能な機器へ更新(一部新設)する。烏丸線は車両更新時期が近い9編成を除く11編成、東西線は全17編成を対象に、2017年度から2020年度までの4年間で順次実施する。
道路のバリアフリー化については、桃山御陵前地区、稲荷地区、京阪藤森地区、烏丸地区、河原町地区、京阪五条・七条地区、深草地区で取組を進めている。
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地上駅の西大路駅(京都市南区唐橋西平垣町)は、京都市域では京都駅、山科駅に次いで利用者が多く、1日平均利用者数(27年度)は3万1900人。乗客は改札口から連絡通路を通って階段を上がり大阪方面、京都方面の各ホームに行く構造で、島式ホーム2面、在来線4線。駅の上部を東海道新幹線が運行しており、駅のバリアフリー化にあたっては新幹線の運行に影響を及ぼさない工法の検討などが課題となっていた。
西大路地区バリアフリー化基本構想によると、西大路駅のバリアフリー化については、JR西日本が現駅舎の北側に駅舎を新設し、京都方面ホーム、大阪方面ホームに北側からアクセスできるようにする。新設する北側駅舎には多機能トイレの整備、エレベーターの整備(3基)、幅広改札口の整備を行うとともに、ホーム上には屋根を設置。転落防止対策として内方線付き点状ブロックを設置する。
京都市は、新設される北側駅舎の駅前整備として階段の整備、エレベーターの整備(2基)を行う。
JR西日本と京都市は2020年度末までにこれらを実施する。
JR西日本は、21億円かけ、西大路駅の次世代ステーション創造事業に着手。駅の改良や駅の改良にあわせて生活支援機能施設、公共施設、観光案内施設等の整備を行う鉄道事業者を支援し、まちと一体感があり、全ての利用者にやさしい駅(次世代ステーション)の創造を推進する。事業費の一部(1/3)を国が補助し、鉄道事業者の事業実施を促す。