東京都は“政策強化版”の2020年に向けた実行プランを策定した。「セーフシティ・ダイバーシティ・スマートシティ」の三つのシティの実現をより確かなものにするため、新規施策の構築や既存施策の見直しを実施。新規施策として臨港道路を対象とした無電柱化整備計画の策定や、都市機能を確保するための千葉との都県境への3橋梁の整備、多摩地域の断面狭小トンネルの長寿命化対策と併せた拡幅、住宅地などを防護している海岸保全施設の長寿命化計画策定などを盛り込んだ。三つのプランを実現するための18年度事業費として1兆5444億円を計上し、このうち政策強化分に4689億円を充てる。
セーフシティの実現に向けた取り組みでは、地震に強いまちづくりとして、▽電線共同溝整備マニュアルの改訂(18年度)▽無電柱化チャレンジ支援事業制度による40区市町村の取り組み支援(18年度)▽都施行の市街地整備事業4地区での無電柱化完了(24年度)▽広域避難を可能とする都県境(千葉県)の橋梁整備(補助第143号)の事業化―などを新たに政策目標として設定した。
具体的な政策展開として、東京2020大会の競技会場が集中する臨海部の臨海道路を対象とした無電柱化計画を新たに策定する。千葉県との都県境のうち橋梁の配置間隔が広いエリアで防災機能を高めるため、補助第143号線と補助第286号線、放射第16号線の3カ所に新たな橋を整備する。
都市インフラの長寿命化・更新に関しては、多摩地域の山岳トンネルの安全性向上を目的に、予防保全対策に併せて断面の狭小なトンネルを拡幅(20年度までに1カ所着手)する他、住宅地を防護する護岸など海岸保全施設の長寿命化計画を新規に策定する。道路台帳の3D化に向けて3次元計測を試行するなど新技術を活用した維持管理の効率化・高度化に取り組むことも明記した。
多摩・島しょ地域のまちづくりでは、24年度としていた全9港での津波避難施設の整備完了時期を20年度に前倒しし、老朽化し建て替える客船待合所に新たに三宅島三池港を追加した。環境に配慮した安全で美しい海岸整備を新たに政策目標に設定し、20年度に5海岸、23年度に8海岸(累計)の事業を完了させる。
ダイバーシティの実現では、保育サービス利用児童数や学童クラブ登録児童数、子育て支援住宅認定制度に基づく認定住宅戸数の目標値を大幅に引き上げ、認証保育所へ移行する認可外保育施設の運営費・改修費を支援する。特別養護老人ホームの定員も同様に引き上げ、老朽化施設の改修などに必要な経費の一部を補助する。
誰もが優しさを感じられるまちづくりの一環として、▽臨港道路のバリアフリー化(19年度に延長10`の整備完了)▽20年大会の競技会場周辺の交差点へのエスコートゾーン整備(19年度に42カ所完了)▽東京港・島しょの客船待合所でのトイレ洋式化(20年度に5か所完了)―など新たな政策目標を掲げた。
スマートシティの実現に向けた新たな政策目標として、▽都立学校の照明器具のLED化(20年度までに14校整備)▽臨港部道路の遮熱性舗装の整備(20年度までに延長約2・5`)▽歩行者の通行を優先し通過交通を抑制する「ゾーン30」の整備(20年度に360カ所完了)▽外貿コンテナふ頭の整備(24年度までに中央防波堤外側に新たに1バース供用)―などを設定した。
提供:建通新聞社